|
|
|
オンライン学習会「保育園」
|
5. 保育料(1)
|
Gさん:
|
保育園のことを自分の足・耳で調べ始めるまでは、わからなかったことなんですが、保育料について知り始めた頃の感想として、認可の0歳児(0歳〜2歳)の保育料ってけっこう高いのですね!と思いました。最高額5万7千円台だそうで…。わたしのほうのイメージが勝手に外れていただけなんですが。最高額までいかないにしても、保育料は、認可と無認可でひどく大きくは違わないのだな、という感想をもちました。 |
|
Bさん:
|
収入の多い家だと逆転現象も起こっているらしいですね。「なんで税金いっぱい払って、保育料までいっぱいおさめなくちゃいけないんだ!!」と怒っている人もいました。 |
|
別当:
|
先日お話したとおり、0〜2才に限定すれば、世田谷では完全に逆転現象がおきています。ここで登場してくるのが公立園の保育単価という問題です。一説によると0歳児一人あたり、公立園の場合月50 万超かかるともいわれています。基本単価の数値は違うのですが、私立園ではおよそ半分のコストでやっているという数値が厚生白書あたりにも載っています。 何故公私でこれほどまでに違いが出てくるのか。おもに「人件費」の違いと言われています。勤続 15 年の保育者の賃金を公私で比較した場合、公立は 400 万円代、私立はなんと 200万円代だそうです。これに退職金が加わります。公立の保育者は私立に比べて圧倒的に勤続年数が多い。それに加えて基本給が高いとなれば、もう比較するまでもないでしょう。私個人としては、「公立園の保育者の給料が高すぎる」とは言いたくない気持ちがあります。(女性中心の職場の給与体系は低く押さえられがちなのが通例。公務員給与はすべての企業の基本バーになるのでここで落としてほしくない) むしろ一般企業と比較しても私立園の保育者の給与が安すぎるというのが妥当でしょう。東京都のように「公私格差」に補助金が出ていればまだしも(それもなくなるという噂が)ですが。「公設民営」派としては、同じ保育で単価が安いんだから民営にすべきという主張ですが、私はそれには懐疑的です。低い賃金の職種に優秀な人材は集まるでしょうか?保育者の熱意にだけ頼っていていいのでしょうか? 公立の経費の「高さのからくり」私立の経費の「安さのからくり」については、私自身もっと勉強の必要性を感じています。 |
|
普光院:
|
ちょっと話題がねじれているように思ったので、訂正を書きます。
Gさんが「逆転現象」と書いておられたのは、認可と無認可の保育料の逆転のことだったと 思います(認可の高所得者の保育料よりも無認可の保育料のほうが安い)。別当さんが書いておられる「公立のコストの半分」というのは、私立認可のコストのことだと思います(無認可ではありません)。 無認可はそもそも認可とは保育の体制が違うため、コストの単純比較はできないのですが、認可公立と認可私立は同じ基準(保育者の配置や施設)に基づいているのに、コストが大きく違うというので、問題になっています。別当さんが書いておられるように、この差が人件費によるものです。このコスト論は下手をすると公立保育園つぶしにつながります。「公設民営論」が吹き荒れる前兆が見えています。「公立の高さのからくり」「私立の安さ(女性労働力の安さ)のからくり」… 確かに見極めていかなくてはなりません。 「なんで税金いっぱい払って、保育料までいっぱいおさめなくちゃいけないんだ!!」につい て、ひとこと。 「保育園を考える親の会」スタッフが厚生省を訪問したとき、私たちは、児童福祉法改正の1つの柱である「均一保育料」について「保育料均一化の狙いは何ですか?」という質問をしました。均一化すると所得の低い人も高い人も同じ額になってしまうわけですが、問題はどのくらいの額に均一化されるのか、ということでした。誰でも払えそうな安い額に均一化されたら問題ないのですが、そうすると、国や自治体の負担をもっとふやさなくては、現在かかっている運営費をカバーできません。財政難の中では国の財源が大幅にふえることは考えにくい、とすると、 中間やそれ以上の額での均一化ということになります。それでは多分、若くて収入が低い世帯にとっては大幅値上げとなるでしょう。 本来、保育園は児童福祉施設であり、保護者のふところ具合にかかわらず、必要とする子どもには等しく、必要とする保育を受けられるようにするという考え方がされてきました。そして、そのためのコストは公的資金で支えられ、保護者はそのうち払える分だけを払いなさい、というしくみだったのです(ちなみにコストに対する保護者負担の平均は都内では 10 %未満、横浜市では 20 %程度です)。こうして、所得の高い人は高く、低い人は低く保育料を負担してきたわけです(応能負担)。 しかし、今回の児童福祉法の改正では、これを均一化するとともに、「応益負担(受ける利益に応じた負担)」に変えようということになりました。今回は社民党、自治労などの反対で流れましたが、実は、児童福祉法改正のときに「0歳児別料金」という厚生省案があったのです。0歳はコストがかかるからもっと保育料を高くしようというわけです。 話は戻りますが、「なぜ均一化を?」と厚生省の方に聞いたところ、「保護者の中で保育料が不公平であるという意見が多かったからだ」と回答されました。そのアンケートは日本保育協会かどこかがとったもので、「保育料の負担大・不公平」が親の不満として大きくカウントされているのです。そりゃあ、ないでしょう? 確かにサラリーマンの親は自営業の人と比べて自分の保育料が高いことを不満に思っているかもしれないが、保育料が安くなってほしくてそんな不満を言っているのです。「じゃあ、皆さんの分を高くしましょう」というのでは詐欺 です。今は暫定期間ですが、保育料の均一化はこれから徐々に進められます。そして、厚生省はきっ と0歳児保育料別料金を再び持ち出すと思います。 |
|
Cさん:
|
この 10 月から保育料が値上がりました。第2子以降は割引があります。それも階層が低いほど、割引率が高いです。また、今回の値上げで、最高金額を払わなければならない階層が広が りました。今回の値上げは「保育園を利用している人としていない人の間の不公平感を除く」ためだそうです。すなわち、保育園を利用していない人が「自分の税金が、保育園に使われているなんて、 まかりならん!!」ってわけですね。 でも私だって、使いもしない健康保険料を払い、もらえないかもしれない年金を払っています。 私の子どもだってあと十数年すれば、国民年金を納めることになります。その恩恵をたっぷりうけている老人世帯などが「税金が、保育園に使われているなんて、まかりならん!!」と言っているのです。「なんで税金いっぱい払って、保育料までいっぱいおさめなくちゃいけないんだ!!」ほんとうにそう思います。 均一化によって、保育の質が落ちるのが一番心配です。たしか、本当に子供に対してかかる金額を、所得に応じて払うという説明を、受けました。この『所得』がくせ者なんです。サラリーマンや、公務員はごまかしようがありません。同じサービスが低料金で受けられるのを不満に思うのは当然なのではないでしょうか? 税金をきっちり納めている人が損をするような現行システムは改められるべきだと思います。 サラリーマン世帯だって、なにも不当に安くしろと言っているのではないと思います。すなわち、サラリーマン世帯は、「人の保育料も払っている」勘定になります。その人が、「その日暮らし」の人であるならばまだしも、下手したら本当は自分の家より収入を得ている自営業世帯の保育料までまかなっていることになるとしたら、「その分を下げろ(取るべきところから 取って!!)」というのは当然のことではないでしょうか? 私は、はっきり言って不満に思っています。一部の自営業の人に対して「ごまかすな!!」と言いたいです。ほんのちょっとのことで下の階層になれば、保育料が2000円違うとなれば操作してしまうのです。本当に、たとえばお父さんが病気で、おかあさんが時給数百円のパー トでやっとなんとか食べていけるってご家庭に、たくさん払えとは言いません。 自分の保育料の額は、それに相応した保育を子どもが受けていれば、別に不満はありません。 たとえ今より高くなっても、今以上のより良い保育が受けられるなら不満はありません。正直な話、今は割高感をぬぐえませんが、なにせ0才児クラスの保育料が「あまりにも安かった」 ため、仕方ないか…って思っています。 0才児は高くするべきだと思います。そしてその分保母さんには「0才児担任手当」がついてもいいと思います。本当に重労働です。必ず1人は背中に背負って、他の用事をされています。 一人おんぶひもで背負い、一人を片手に抱き、4人乗りの乳母車を押しているなんてのも決して珍しくありません。私たちはいつも「センセイ、そんなにしてくれなくてもいいよ。床にころがしといて。 センセイに身体壊されたら、そのほうがこまる。1食くらい食べなくても死 なないよ。おしめだけは替えて欲しいけれど。」とか「割り増し料金、個人的にはらいましょうか?」とまで言っていました。 |
|
Gさん:
|
わたしのところでは、認可と無認可の保育料が「逆転」まではしていませんので、逆転現象についてまでは触れていなかったのですが、実際に逆転現象がおこっている地域があるというのは知りませんでした。これくらい差が少ないと、逆転もあり得る… というのは想像がつきます。子どもを預けている無認可園では、今は0歳児で貸オムツ代 (3,000 円)を別料金として同時に徴収されているのですが、これがなくなると、ますます認可との差は縮まるわけですし。 市からの補助金がどうも雀の涙らしいこともあり、見るからにお金がなさそうな園です。 それを考えると、公立よりは高くても当然でしょうし、むしろ、この金額で本当によくやってもらっている!と感謝しています。いろいろと手作り・持ち出しでがんばっています。それに、 給食・離乳食は、無農薬・低農薬野菜中心にしていますので、これもコストがかかっているにちがいありません。 「認可」であれば、公立でも私立でも、保育料のシステムは同じですよね。認可であれば、どちらも同様に役所に申請するという手続きを取るもので、同じ基準(保育者の配置や施設など) に基づいているというもので、保育料(の基準)も同じ。それで、そんなにコスト(人件費) が違うのですか。認可としての基準という、その保育料の配置、私設、給食(たとえば、完全給食であること、メニューも市で決まっていることも)といった基本要素は同じですが、 市によっては、「 THE お役所」という感じの公立と違って、私立認可では、延長保育にも対応してもらいやすかったり、夕方、オプション料金を払って、音楽やバレエなどのお稽古ごとに参加できるようになっているところもあると聞きます。体制、それに発想自体が違っているところがあるということで。 それだけサービスが違っているというだけでも私立認可はコストがかかっていることがわかりますし、そう考えると、私立認可は「割安」な存在ということになるのでしょうか。 確かに0歳児の保育は大変ですし、コストがかかります。それは、よくわかります。ミルク・ オムツ・各種手間ヒマ…。だからといって、そんなに差をつけてしまっては、0歳児で保育園がますます贅沢な存在となってしまい、0歳台から保育園に預けて仕事をすることが、より敷居の高い存在となってしまいます。 1年間「育休」をとることができるのは、会社員(正社員)中心ですよね。ほかの立場のかたは、自営業、フリーランス、パート、派遣社員、……(ほかのカテゴリーもあるかな)など、 そんな制度はありません。そういうかたでも、1年はお休みしてゆっくり育児に専念したいと考えるのも自由ですし、それもいいことでしょうが、経済的なことからいっても早めに仕事に復帰したいという場合も多いことでしょう。正社員のかたでも、仕事大好きなかたや諸事情などで、育休をまるまる取得せずに産休や産休+αで復帰される場合もあるようですし。4月から入園となると、自ずから1年も休めないのか…正社員でも。そんな0歳児保育が、そんなにぜいたくなことなんでしょうか? 年金と同様、苦しい(?)立場をみんなで負担する、ということには、もうできないのでしょうか…福祉って? 病気がちでとっくに退職後のお年寄りなどにも、受益者負担!という世の中になるのでしょうか。
|
|
普光院:
|
「同じサービスが低料金で受けられるのを不満に思うのは当然なのではないでしょうか?」そうですね。このように「保育を売買されるサービスとして考える」ということが、現在、中央で保育制度改革を考えている経済学者や産業界の方々の基本的な方向性です。 そうすると、当然、「応益負担」が望ましいということになるのでしょう。消費社会になじんできた私たちとしては、その方がわかりやすいし、すっきりしていていいようにも思われます。 ただ、そこには落とし穴があると思います。 簡単にいえば、私たちが現在受けている保育のコストというのは、私たちが自力で買い取れないほどお金がかかっているということ。質のよい保育にはお金がかかります。社会がお金をかけて「福祉事業」として行われることで、現在の保育は成り立っています。もちろん、そのコストを支えている税金も、もとはといえば、私たちが払ったお金ですが、それは保育園に預け ている親だけでなく、専業主婦家庭、独身者や子どものいない人々も払ったお金です。税金をかけるということは、それが社会全体にとって必要な事業であるというコンセンサス (合意)が必要です。保育の場合、そのもととなるのは、 1 子どもたちは次世代を担う社会の財産(次代の経済を支える力)である、ということと、 2 子どもの権利条約にもあるように、すべての子どもには健やかに育てられる権利があるという(原文がないので不正確ですが)児童福祉の考え方に立つこと、 3 私たちはいま、男女共同参画型社会に向かっているということ、 などの基本的認識だと思います。 ところが、現在、このあたりがどうもあやふやです。保育は利用サービスだという論調ばかりが目につきます。(もちろん、利用サービスである要素もありますが、個人が自己負担で自由に利用するサービスでよいと位置付けられてしまえば、国や市町村などの公的な責任の根拠はなくなります。) 児童福祉やこれからの社会の方向性(男女共同参画型社会)について明確な視点がないまま、 コスト論・応益負担論が展開されると、現在の保育制度はずたずたに壊されてしまうのではないか、と私は危惧しています。(すでに霞ヶ関では、福祉事業を全般的に民間サービス化し、 利用者に一定の補助金は出すが、それで人々がどんなサービスを買い取るかは自由に任せよう、 という検討がされています。「社会福祉構造改革」と呼ばれています) 前回も書いたように、保育料軽減が手厚い都内では、親が負担している分はコスト全体の 10 % 未満です。もちろん自営業や生活保護世帯などの負担能力の低さも響いているでしょう。しかし、上記のような論法を始めたら、たちまち子どもを預けていない人々から「我々の税金でな んであんたたちの子どもの世話をみなくてならないのだ」という議論にもなりませんか? 税金を多く負担している人にその分だけ還元するのであれば、税金を集める必要はなくなってしまいます。税金は「公」の目的に使用するために集めているのですから。 自営業とサラリーマン世帯の税の不平等(クロヨンと言われる)は、本来、税制度の問題で保育料の問題ではありません。税負担が不平等であるということは保育料の問題よりも、もっと大きな広範囲な問題だと思います。もちろん、税制度の不平等が保育料にも反映されることががまんできない、ということになれば、 1 税と切り離した公正な所得捕捉方法を考え出すか しかありません。1で公正な方法があれば、税制度の問題もとっくに解決しているはずですから、1はありえないでしょう。すると残るのは、2の均一保育料です。これが実行されました。 厚生省は均一保育料へと徐々に所得階層区分を減らす計画です。最初に今年度、10 段階だった国基準を7段階にしました。これに便乗して市町村でも値上げしつつ所得階層をいじったところもあったと思います。市区町村では、国の基準に独自の予算を計上して、保護者の負担を軽減しているところが多い(都市部はたいてい)ので、国の改定をどう反映するかは、各市区町村が判断します。 23 区は全国で特別に保育料の安い地域ですが、特に所得階層区分細かくして中間層の負担の 軽減に力を入れていますので、国の方針とどう合わせていくか、これから悩んでいくのだと思 います。 均一保育料も本当に安い額で均一化されるのであれば、決して悪くありません。でも、そんなことが可能でしょうか?私自身は、児童福祉法改正前は、「保育にお金がかかることが問題になるのであれば、子どもたちのよりよい保育のために経済的にゆとりのある人が多めに出すような、福祉の精神に立つ応能負担が妥当ではないか」と考えていました。しかし、すでに改正されましたので、均一保育料がどのような形で実行されるのがよいのか、という議論に移らざるをえなくなっています。
|
|
Eさん:
|
「保育は利用サービスだという論調ばかりが目につく」 まったく同感です。「子供は少なくなったのだから」と、保育園を統廃合し、行政の責任を少しずつ放棄していくような動きがあります。この動きが広まり、すべて民間の競争原理にまかせていくと、どうなるのでしょう? 厚生省は先に高齢者福祉でこれをやっていますよね。ゴールドプランです。結局、良いサービスを受けるためには、かなりの費用負担が必要で、「安かろう、悪かろう」になっているのではないでしょうか。 多額の利権にからんで汚職も発生していますよね。「老人が食い物にされている」という感じがするのは私だけでしょうか。これが子供に適応されたら、と思うと、 エンゼルプランもよく内容を吟味していかないと、とんでもない計画になりそうです。 以前に別当さんが発言なさっていた、公立と私立の職員の給与の違いも驚きでした。まさか、 倍も違うとは思いませんでした。私立の保母さんたちは「やる気」を失わないのでしょうか。 保育園がすべて民間運営になれば、このような無理な労働がまかり通ることもあるかもしれない(高齢者施設のヘルパーさん達が安い料金でこき使われて体を壊す、ということと同じ ) 、 給食も外注になって食材を吟味する事もなくなるかもしれない・・・。もちろん、効率よい運営、実力重視など、悪いことばかりではないと思うけど。 「均一保育料も本当に安い額で均一化されるのであれば、決して悪くない」そのためには、行政からの補助が必要になると思いますが、厚生省はこれを縮小する方針だと聞きます。それならば、せめて児童手当を充実させて「子育て世帯」の負担を軽減して欲しいものだ、と思います。 |
|
Bさん:
|
保育料の算出っていろいろ控除とかが入る前の所得で計算するのでしょうか? |
|
普光院:
|
保育料は前年度に払った所得税額の世帯合算額で決まります。固定資産税を払っていると階層区分がひとつ高くなるという基準を設けている自治体も多かったのですが、最近それは不合理だということで、やめたところもあるようです。 |
|
別当:
|
保育料の場合、税金が戻って、実質支払ってないに等しくてもまったく関係ありません。要は「本来いくら払っているか」が問題なんです。例えば 30 万納税して、 26 万住宅取得控除があったとしても、保育料は差し引きで納めた税金4万円を基準にするのではなく、当初収めた30 万を基準に算定されます。固定資産税は廃止の方向に向かいつつあるようですが、確かに変ですよね。今の収入が低くても、先祖伝来の土地に住んでたらワンランクあがってしまう。 普光院さんも指摘なさっていますが保護者の「保育料不平等」に対する不満は、「安い人がいるから」ではなく、「税金のいわゆるクロヨンの弊害」がそのままスライドして保育料にも反映されるからだと思います。そういえば児童手当てなんかもそうですよね。 |
|
Hさん:
|
私は自営ですが、例えば、私も全く違う怒りを抱いていたことがあります。最初に保育園になかなか入れなくて、どうしてもというのならと最初に入った公立保育園は、バスで 10 分通わなければならない場所でした。しかも、私が働かなければ家賃も食費もままならないような切羽詰まった状況なのに、おばあちゃんもいるし、それこそブランドもので身を固めた裕福そうなお母さんが買い物袋を下げてたまに迎えに来るのを何度か見ました。とても『保育に欠ける』 状況では無いんじゃないか?なんで、こういう人たちのおかげで私たちのように子供を預けなければ食べてゆけないような状況の人間が空き待ちなのか?!と腹を立てた覚えもあります。 しかし、こうした怒りに至る現象は、音光院さんがおっしゃるように一部税の問題を含む一見保育とは無縁の様々な制度を含む制度政策の問題や個別の園の保育方針、これまで存在していたの入園措置の在り方等がクロスオーバーされて、それと少し、私たちの虫のいどころや毎日の生活に根ざすストレスなども相まって出現してくるんですよね。ひとりだとどうしても、そういう怒りに火がついてしまう。よく分かります。だからこそ、いくつかの原因を冷静に割り出して、何をなすべきかという議論に持ち込んでゆくために、今回のこうした場所はとても貴重かと思います。 まず、保育料の適正徴収については、その根拠が納税額である限り、税の適正徴収が行われているかどうかという問題があるかと思います。一部の自営の場合のごまかしということもそうだし、他にもいろいろありそうです。保育に限らずほとんどの福祉に絡む扶助や個人負担額は、この納税額が基本になっています。これは、現行の日本の法律が出来上がった時にあった貧困政策=福祉という構造から世の中のニーズが変わってもなお抜けられない日本の制度上の問題があるかもしれません。 音光院さんのおっしゃるように、保育が社会全体にとって必要であるという認識は、おそらくまだ行政の意識の中にはないと考えて間違いないでしょう。なぜなら、児童福祉法の改正はまだ基本的に根幹から時代のニーズを反映するモノにはなっていないからです。そして、行政 は、法を忠実に執行するところにすぎません。 元来、「保育に欠ける低所得世帯」を対象とした公立保育所が、時代の変遷によるニーズの変化で随分と現実の入園希望集団が様変わりしてきたことに対応できず、今回の保育料逆転現象の問題が浮上したという要因も一部にあるかと思います。基本姿勢の変わらぬままの一部改正だったから生じた歪みのように思えてなりません。そもそも、そんな世帯が保育を必要とするなんて考えは、毛頭ないのが元々の児童福祉法であり、保育施設であるからです。そして慌ただしく措置制度を撤廃し、自由選択のできる制度への転換を図るというもっともらしいお題目が出来上がりましたが、ここには、お国の事情も手伝って、本来の保育料適正化よりも公立の保育園にかかる費用の削減が優先されました。 そして、医療や老人介護と同様に、ここでも民間への業務のシフトを厚生省は強く説いています。さて、これがサービスの向上や料金の適正化に上手く繋がっていくかどうか、というところが問題のところです。 時代の変遷と共に変わってきた保育へのニーズの変化を、地域ごとのインフラにまず反映させ ること。量と質、配置、ネットワーク、そうした青写真を、新しいニーズを踏まえた基本理念とともに描くこと。そこからすべては始まらなければならないでしょう。役割分担を考える場合、公立保育園はやはり低所得世帯で核家族および片親世帯、共働き世帯を、第一群として最優先にこうした層を無料ででも入園させてゆくことが、時代の変遷による数の多少は動いたとしても恒久的な公立の役割かと思います。認可私立、無認可とはそこで役割の一線を引くべきでしょう。しかし、もし、今回の制度改革を前向きに捉えるならば、無用な差別を生むランク付けを避けるために、個々の入園児世帯に対する個別の保育扶助を設けて、保育園は官民、認可無認可入り乱れて、個性重視のそれこそフレキシブルな園づくりに励むというのが、理想のシナリオでしょうか?そして、そのためのユニークな企画ならば、個々の園への補助金を出し ましょうと、そうなれば少しは今回の改正も前向きなものになるかもしれません。 保育料(2)に続く |
| オンライン学習会のページへ戻る | |
| WOMのホームページへ |
Last updated on 17 September 2001 by Michiko Takeda