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オンライン学習会「介護」
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13. 吉岡さん 第1回講義
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介護保険は、 2000 年 4 月より施行されました。介護保険とは、今後増大する高齢者介護のニーズを”保険事故”として介護サービスの給付を保証するため、<国民連帯による負担と給付の公平>、さらに<高齢者の自立と選択の支援>を理念として創設された<社会保険>です。社会保険としての基本的な仕組みは、医療保険や年金保険と同じです。今回は、<国民連帯による負担>としての保険料のお話をします。 従来制度(介護保険導入以前)の問題点は、 1.市町村が、市町村の許容範囲内にてサービスの種類、提供機関を決めるため、利用者がサービスの選択をすることができない。特別養護老人ホームに入りたくとも空きがなくて何ヶ月も待たされる。その間、老健施設をたらい回し(キャッチボール)される。十分な介護を受けてないと家族が感じても施設をかわることが難しい。 2.所得調査が必要 心理的抵抗感が伴う 3.市町村が直接あるいは委託により提供するサービスが基本であるため競争原理が働かず、サービス内容が画一的になりがちである。またサービスの質に差がある。 4.本人と扶養義務者の収入に応じた利用者負担となるため、中高所得層にとって重い負担となる。たとえば平均的なサラリーマン世帯(年収 800 万円)で老親(厚生年金受給者)が特別養護老人ホームに入所した場合、本人の徴収額は、 14.9 万 / 月、扶養義務者の負担は、 4.1 万円/月ほど。平均では、 4.5 万円/月。 一方、今回導入された<社会保険方式>では、保険料負担の見返りとしてサービスの受給が受けられ、そのサービスを選択することができます。そして利用者は、受益に見合った負担(応益負担)をします。 介護保険の財政は、被保険者の保険料による収入 50 %、公費 50 %(国 25 %、都道府県 12.5 %、市町村 12.5 %)にて運営していきます。今回の法で、保険料の支払い者は 40 歳以上となりました。そして死ぬまで払い続けます。 ○保険者 市町村および特別区(以下、市町村と略)。今回の介護保険では、地方自治法で定める広域連合(近隣の市町村で連合を作る)等をもうけて介護保険事業を行うことなどが配慮されています。 ○第 1 号被保険者( 65 才以上) 保険料は年金から天引きされます。対象者は7割くらいと言われ、それ以外の人は市町村の個別徴収になります。金額は、市町村によって異なり、さらに所得に応じ5段階に設定されています。 1999 年 7 月に発表された試算では全国平均 2885 円で、最低で 2409 円、最高は 6204 円でした。経過措置として、 2000 年 4 月から 9 月までは無料、 2000 年 10 月から 2001 年 9 月までは半額になっています。 ○第 2 号被保険者( 40 才から 64 才) 医療保険(健保組合保険や国民健康保険など)に上乗せして給与から天引きされたり、納付したりということになります。これは、全国一律料金です。 金額は3年毎に政令で定められます。また、施行5年後には制度全体の見直しを行うことになっています。 これまで、老人の福祉サービスは、租税による「措置制度」を基本にした老人福祉制度によって実施されています。この租税財源の配分による<公費(措置)方式>は、<行政機関がサービスを決定し>、利用者は、<所得に応じた負担>(応能負担)をします。 給付については、後ほどお話ししますが、医療保険と同様にかかった費用の何割かを自己負担するということになります。 2000 年導入時では、1割負担と定められています。 介護保険の給付についてお話しします。 1.給付の対象 介護保険の第1条は、 介護保険第1条(目的) この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係わる給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う介護給付に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする、となっています。 ここでのポイントは、「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり」でしょうか。加齢に伴うが、みそです。 65 歳以下でも要介護状態になることはあり得るわけですよね。 給付の要件(受給権者)は次のように定められています。 第1号被保険者( 65 歳以上の者)要介護状態にある 65 歳以上の者 第2号被保険者( 40 歳以上 65 歳未満の医療保険加入者) 第2号保険者とは、要介護状態にある 40 歳以上 65 歳未満の者であって、その要介護状態の原因である身体上または精神上の障害が加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって政令で定めるもの(特定疾病)によって生じたものであるもの ここには、「加齢に伴う疾患の条件」が加わります。 この特定疾病には、現在 15 疾患が政令できめられています。 @初老期の痴呆(アルツハイマー病、脳血管性痴呆など) A 脳血管疾患(脳出血、脳梗塞など) B 筋萎縮性側索硬化症 C パーキンソン病 D 脊髄小脳変性症 E シャイ・ドレーガー症候群 F 糖尿病性腎症、同網膜症、同神経障害 G 閉塞性動脈硬化症 H 慢性閉塞性肺疾患(肺気腫、慢性気管支炎、気管支喘息など) I 両側の膝関節又は股関節に著しい変性を伴う変形性関節症 J 慢性関節リウマチ K 後縦靱帯骨化症 L 脊椎柱管狭窄症 M 骨粗鬆症による骨折 N 早老症(ウエルナー症候群) それぞれの病気についての説明は省きますが、要介護状態になる可能性の高い疾患があげられています。 「要介護状態」とは、身体上または、精神上の障害があるために、入浴、排泄、食事などの日常生活における基本的動作の全部または一部について、継続して常時介護を要すると見込まれる状態をいいます。介護の度合いにより、ランクが 5 つあり、そのランクにより、給付される限度額が定められます。(約 14 万円〜 30 万円 / 月) 要介護状態区分1 生活の一部について部分的介護を要する状態 要介護状態区分2 中等度の介護を要する状態 要介護状態区分3 重度の介護を要する状態 要介護状態区分4 最重度の介護を要する状態 要介護状態区分5 過酷な介護を要する状態 「要支援状態」とは、日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態で、要介護状態以外の状態をいうと定義されています。これは、ワンランクだけです。(給付限度額約6万円) Fさん: 介護保険制度はなんで年齢制限があるのでしょうか。人が何がしかの病気になったり、事故等で障害を持つことに年齢は関係ないはずです。むしろ現役世代の人が要介護状態になった時は、介護費用の負担と収入減がセットになってやってきます。このことにもっと人々の関心が集まって欲しいと願っています。 吉岡: もうひとつ、健康保険の場合もそうなのですが、他法との調整による措置があります。 1)労災適用の時は、労災優先労働者災害補償保険法の規定による療養補償給付や療養給付など補償的性格を有した給付で、介護保険による給付に相当するものを受けることができる時は、介護保険の給付は行われない。(労働者災害補償保険法から給付) 2)老人福祉法上の福祉の措置 例外的に介護放棄など、本人の心身の状況や家族関係などの事情から、そのまま放置した場合、利用者と事業者・施設との間の契約に基づくサービスの利用が期待できないような場合は、「措置による」サービスの提供が行われ、公費によりその財源が賄われる。介護保険からの給付を受けることができるときは介護保険優先(老人福祉法から給付) 3)生活保護の時、介護保険優先 生活保護の被保護者であって、介護保険の被保険者である者に対しては、介護保険を優先的に適用し、利用者負担相当部分について生活保護制度から介護扶助を行う。(1割負担部分は生活保護から)介護保険の1号保険料については生活扶助による給付が行われる。(保険料も生活保護から) 医療保険に加入していない 40 歳から 64 歳までの被保護者については、介護保険の被保険者とならず、必要な給付は介護扶助(すべて生活保護の方から)で行われる。(生活保護法からの給付) 4)公費負担医療との関係、介護保険優先 介護保険の給付は、精神保健および精神障害者福祉に関する法律、身体障害者福祉法、原子爆弾被爆者に関する法律などの公費負担医療の給付に優先し、公費負担医療の給付は、介護保険における利用者負担の部分について行われる。(一割負担分は公費で)(その他の法令からの給付) 1〜4に関して(2は応能分があるのですが)、本人の支払いは0になります。 介護保険の給付に当てはまらない年齢や、疾病においても介護が必要な状態はあるわけで、それらへの給付は、福祉や医療の範疇で、行われることになると思います。事故で障害を持ったときは、身体障害者福祉法の範疇に入ります。しかし、福祉の範疇は、どうしても応能負担になると思いますので、所得が係わってくると思います。そうするとすべての人が、という意味では、給付を受けられないケースもあるでしょう。 いろいろな法律とのすりあわせの大枠はできているのでしょうが、これから個々のケースを見ていく必要があるでしょう。 ちょうど働き盛りで問題になる疾病にはガンがあると思います。特定疾病のなかには、悪性腫瘍はは入っていないわけで、今注目されているのが、民間のガン保険でしょう。生存中にとてもお金がかかるわけです。治療にもお金がかかるし、生活費もかかります。民間保険会社の方がいらっしゃれば、ライフサイクルにあわせた民間保険のプレゼンテーションをしてくださるのでしょうが、私の手持ちのコマではここまでです。年金がからんだ、お金の話もつっこんだお答えができなくてすみません。福祉のプロにお頼みするしかありません。 公的介護保険は、いわば、いままで、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となった場合を医療保険や福祉、家庭介護にて賄っていた分を公的介護保険という新しい保険財源(保険料を徴収するシステム(つまり税金ですが)と自己負担分)を設け、介護という新しい枠組みを作りそのなかで高齢社会を共同連帯にて乗りきろうということだと思います。受ける権利もあるわけですが、それなりにいままでよりも税の負担が増えます。 2.保険給付を受けるまでの流れ、 < 市町村に要介護認定、または、要支援認定の申請書を出します。後で述べますが、これには、代行サービスがあります。 ↓ < 市町村の職員が被保険者に面接して心身の状況などを調査し、判定用コンピューターによる分析を行います(一次判定)。そして主治医の意見も求めます。 ↓ < 市町村には、介護認定審査会が設置され、申請のあった被保険者の審査判定を行います(二次判定)。 ↓ < 介護認定審査会で要介護者、要支援者との認定を受けると、その介護の内容をマネージメントするケアマネージャーが登場し、いつどの職種がどのようなサービスを提供すれば被保険者のニーズに合うのかをプランニングします。 サービスの内容については次回述べますが、大きく分けて「在宅介護サービス」と「施設介護サービス」があります。在宅介護サービスを受ける場合、たとえば、ヘルパーさんに週2回、買い物、洗濯、掃除などの訪問介護を受ける、週に1回訪問入浴介助を受ける、訪問看護ステーションの看護婦さんに週1回訪問看護を受ける、週2回近くのデイサービスを利用する、福祉用具の貸与をうける(電動ベット、車椅子など)、などとケアを組み合わせます。ただし、公的介護保険では、要介護度のランクにより支払われる給付額が定められますので、あれもこれもと望み通りにはいきません。そこが公的と言われるゆえんで、望んでいても公的に給付してもらえない介護の部分は、我慢するか、家族が行うか、民間に委託するかになります。 公的介護保険サービスからはみだしたサービスは、上だし(サービスを受ける頻度を増やしたい。ヘルパーさんは、週2回は公的保険で、週3回は自費で)横だしサービス(サービスの種類を増やしたい。公的に受けられるサービス以外に食事サービス、理髪サービスを利用する)と呼ばれ民間企業が全額利用者負担にて受け持つことになります。民間保険会社の介護保険はこの部分を補完します。この公的、あるいは、民間活力によるシルバー産業が、 10 兆円市場になると言われ、ここに、いままで福祉には全く関係のなかったようないろいろな業種が参入してきているところです。
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塚田:
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ちょっと、わからない点があったので質問します。「介護の度合いにより、ランクが5つあり、そのランクにより、給付される限度額が定められます。(約 14 万円〜 30 万円 / 月)」とありますが、この給付は、医療保険のように現物支給なのでしょうか? それとも現金支給なのでしょうか? 例えば、介護区分5であれば、月 30 万円相当の、介護サービスがうけられるのか、あるいは 30 万円 / 月現金で支給され、利用者負担で別途1割の金額を支払うのでしょうか。 |
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吉岡:
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30 万円相当の介護サービスを受けられると言うことです。この組み合わせをケアマネージャーがプランニングします。 30 万円相当受けられるのですが、本人の一割負担、月3万円が支払えないと言うことになれば、ケアマネージャーは、本人の支払い能力とニーズをうまく組み合わせ、本人が払える限度の介護を組み合わせることになります。ここが非常に難しいところだと思いますが。 法案が決まるまで、家族による介護のことも考えて現金支給の問題も取りざたされたのですが、現在のところ、現物支給だけとなっています。Dさんが、ホームヘルパーに登録して自分の親の介護にあたると言う方法を、トリッキーですがとおっしゃられていましたが、そのような方法を考えている方もすでにいらっしゃいます。 |
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塚田:
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次の講義とも関連するのでしょうが、例えば介護保険で認められるホームヘルパーは、確か最もランクの高い場合でも週2回だったと思うのですが、これだけの支給では、実際介護は困難ですよね。家族に出来るだけ依存しないためには、やはり民間サービスに頼ることになります。今後、我々が、自分自身のため、どの程度介護に備えて貯蓄すべきか、考えたいところです。 2000 年以降、例えば、 70 歳で脳梗塞のため寝たきりになり、 80 歳で寿命を全うしたとしますよね。 10 年間独居で寝たきりで、在宅介護サービスをうけるとなると、どの位のサービスを要して、実際に介護保険で保証されるのは何割程度で、民間に依頼する費用がどの位必要になるか、ちょっと試算してみたいのですが。あるいは、試算したケースはありますか? まず、年金がどのくらい支給されるか、押さえたいのですが。 |
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吉岡:
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民間保険会社には必ずあるのではと思います。調べてみますが。ある民間保険会社の介護費用保険のパンフレットの中のある契約例ですが、 40 才男性基本契約(寝たきり、痴呆ともに補償)支払い限度期間なし、 介護諸費用保険金 在宅介護 介護人雇い入れ費用や介護用品の購入費として月額 10 万円 病院などに入院 介護用品の購入費として月額5万円 介護施設に入所 介護用品の購入費として月額 1.5 万円 臨時費用保険金 在宅介護のための住宅改造費用、および、介護機器の購入費用として保険期間を通じて 100 万円まで というのが、掲載されていました。そして保険金支払い例として くも膜下出血で倒れ、 6 ヶ月間入院、その後在宅介護 8 年間 支払われる保険金総額 1,180 万円 となっていました。これはある 1 例です。保険会社によりいろいろな契約内容、給付サービスがあると思います。これからは、民間介護保険も注目されてくるのではないでしょうか。 |
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Fさん:
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私の父は現在特別養護老人ホームに入所しています。現在の費用負担は、本人の収入に応じての分担が約5万円で、扶養義務者の負担が約1万円です。その外には医療費や衣服費等がかかります。介護保険が導入された後の負担は、保険料と実際に必要な介護費用の1割の分担と食費がかかると聞いています。他には、介護保険導入前と同様に、医療費や、衣服費も負担するのですか?他にも被介護者側が負担するものはありますか? 例えば、現在はおむつ代はかかりませんが、今後はどうなるのでしょうか? 父の場合、痴呆症で寝たきりですから、介護費用は最高ランクになると思うので、その1割で約3万円。それから、保険料と食費と医療費と衣服費で合計どのくらいになるか、よくわかりません。 一方、父の収入は一級の傷害年金のみなので、8万/月をすこし超えた程度です。父の収入で、全ての費用がまかなえるかどうか、心配しています。 父が精神病院に入院中に股関節を骨折したことがありました。そのとき、病院側から、 24 時間体制で付き添いができるならば、整形外科に入院させて治療ができるけれど、どうしますかと聞かれたことがありました。父が病気になったときは、入院の措置が取られると思うのですが、そのとき、父が特養ホームの時と同様に、暴れたり、看護婦さんに噛み付いたりしたら、病院の入所を断られたり、付き添い婦さんを付けるように言われたりしないのですか? 現在、どの病院も付き添い婦さんがいなくなっているのは知っています。しかし、そのために家族が 24 時間体制で患者さんに付き添わなければならなかったり、プロの付き添い婦さんを家族と偽って介護に当たっていると聞いています。 いろいろと質問しましたが、介護について分からないことが多くて不安です。どうかよろしくお願いいたします。 |
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Last updated on 17 September 2001 by Michiko Takeda