オンライン学習会「介護」

 

 

1. 吉岡さん 第3回講義

<保険給付3> 

保険給付について話を進めます。

B.施設サービス

 施設サービスとしては次の 3 つのサービスがあります。

特別養護老人ホームへの入所

特別養護老人ホーム入所者に、施設サービス計画に基づいて、介護などの日常生活上の世話、機能訓練、健康管理および療養上の管理を行うサービス

介護老人保健施設への入所 

介護老人保健施設入所者に、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理下における介護、機能訓練、その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うサービス

療養型病床群等への入所

療養型病床群の入所者に、施設サービス計画に基づいて、療養上の管理、看護、医学的管理下における介護などの世話および機能訓練、その他必要な医療を行うサービス

在宅サービスについては、サービスの名前を聞いただけで何となく想像できると思いますが、施設サービスについては、それぞれの施設の違い等が、よくわからないと思います。

 

上記の3つの介護施設サービスについて、もう少し補足説明します。

1.特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)

(機能)生活の場であり、家庭と同じ機能をもつ。住民票を移動する。

(目的)入院治療は必要ないが、常時の介護が必要な場合で、居宅での介護が、困難な時に日常の生活、機能訓練、健康管理および療養上の世話を行う。高齢者が終生生活できる施設である。

(対象者)入院治療の必要がない。日常生活に常時の介護が必要である。

(医療について)症状や病気の疑いがあるときは、嘱託医と相談し医療機関を受診し必要なら入院し治療をうける。

(アメニティー)一人あたりの居室面積 10.65m2以上

最も介護機能に重点をおいた施設です。現在の利用者は、平均年齢 81.8 歳で、 85 歳以上の超高齢者層が3分の1以上を占めています。重度の要介護者が4分の1以上。退所先は家庭が年々減少し、死亡退院が8割を占めています。

 

2.老人保健施設(介護老人保健施設)

(機能)自立を支援し、家庭復帰をめざす。療養機能をもつ。

(目的)看護、医学的管理の下に、介護および機能訓練、その他必要な医療、並びに日常生活上の世話を行う。家庭復帰を促すための在宅サービス(ショートステイ、デイケア)も提供する。

(対象者)急性期の治療を終了し症状安定期にあり、入院加療の必要がない。看護、医学的管理の下に介護や機能訓練および日常生活上の世話を請けることで自立が促され、家庭復帰が可能になる。

(医療について)入所中でも主治医の指示で服薬などは施設内で受けられる。病状悪化したときは医療機関へ。

(アメニティー)一人あたりの療養室面積8m2以上

3つの介護施設の中で中間的な特徴を持つ施設です。家庭復帰を目指していますが、現行の現実は、特別養護老人ホーム入所までのつなぎとなっている場合も少なくありません。

 

3.療養型病床群(介護療養型医療施設)

(機能)治療機能をもつ。家庭復帰をめざす。

(目的)長期にわたり療養を必要とする患者に対し、療養上の管理・看護、医学的管理の下における介護その他の世話および機能訓練、その他の必要な医療を行う。

(対象者)長期入院による療養を必要とする。痴呆があり家庭での介護が困難で入院による療養が必要なこと。慢性期の治療を必要とする。

(医療について)治療が受けられる。

(アメニティー)一人あたりの病室面積 6.4 m 2 以上( 1 病室あたり 4 床以下)

最も医療的機能のある施設。老人保健施設や特別養護老人ホーム、あるいは、在宅では対応しきれない医学的管理や集中的リハビリが必要な場合が対象となります。

この介護療養型医療施設のなかに、精神病院の老人性痴呆疾患療養病棟が含まれます。老人性痴呆症に対して、長期間の医療と介護の提供を行います。痴呆疾患に伴う随伴症状としての精神症状や問題行動が、家庭や他の施設では対応が困難な場合に専門的な施設としての役割を持っています。

 

C.その他

高額介護サービス費 

1 割の定率負担が著しく高額となった場合に、当該費用負担の家計に与える影響を考慮し、当該負担が一定額を上まわらないように負担軽減をはかるために行う給付。(つまり上限金額)

低所得者等以外 37,200 円、市町村民税世帯非課税者等 24,600 円、生活保護受給者等 15,000 円と政省令で設定されています。

特例施設介護サービス費

制度施行日に特別養護老人ホームに入所しているかたに対しては、現在の応能負担(所得に応じた)から、利用に応じた応益負担に変更されることにより、大きく利用者負担の増大が生じる場合、経過措置として負担能力に応じた減免措置も講じられます。

 

○痴呆対応型共同生活介護

居宅介護サービスでお話ししましたが、痴呆対応型共同生活介護について、もうすこし詳しくお話しします。

 痴呆対応型共同生活介護は、一般的にグループホームと言われ、痴呆性老人を少人数(5〜9人)のグループにして、家庭的な環境で共同生活を送ることができるよう食事などの日常生活を援助し、痴呆性老人の自立生活、介護する家族の支援を行う事業です。現在全国で 40 数カ所のモデルホームができ、その運営やサービスについての検討が進められています。老人保健施設の退所の受け皿として、また在宅の要介護の痴呆性高齢者の支援として注目を集めています。

 介護保険が導入されますと、要介護認定により要介護と認定された後、利用者とグループホーム運営者の契約により成立する形となります。つまり、要介護認定を受けた高齢者のうち、痴呆の人について、本人または、家族が希望し、「共同生活を営むことが可能」と判断された場合に契約することになります。介護サービスの部分については、介護保険による給付が行われますが、そのうちの1割分と日常生活費(食費)について、利用者が負担する形になります。住居部分は、利用者負担が想定されています。

 

痴呆をよく理解するための7法則(杉山孝博氏:川崎幸病院副院長)

第1法則:記憶障害に関する法則

痴呆性高齢者に例外なく、記憶障害には 3 種類の記憶障害がある。「記名力の低下」新しいものを覚え込むことの障害。「全体記憶の障害」自分が体験したことを、丸ごと忘れてしまうこと。「記憶の逆行性喪失」自分が今まで積み重ねてきた体験の記憶を現在から過去に遡って忘れていく。

第2法則:症状の出現頻度に関する法則

痴呆の症状が現れる状態が、もっとも身近にいて世話をしてくれる人に対してひどく現れ、時々会う人などには軽くでる。このような不思議な現象があるので身近な人に混乱を与えてしまう。

第3法則:自己有利の法則

自分にとって不利なことに関して、たとえ現実にあわないことでも自分を守るような反応(たとえば偽りのいいわけなど)を素早く言う。

第4法則:まだら痴呆の法則

痴呆性高齢者がすべての点で現実にないおかしな行動を取るのではなく、正常な部分と痴呆の部分とが、入り交じってあらわれてくることをまだら痴呆という。

第5法則:感情残像の法則

自分が体験した事柄に関して事実やその原因に関してはすぐ忘れるが、その体験した感情に関しては、その残像として考える現象が認められる。つまり人の印象が、その時の内容とは別に出現するので現実的な因果関係で理解できない言動となりやすい。

第6法則:こだわりの法則

現実の生活の道筋のなかで、ある一つの考えや状況にとらわれ、そこに気持ちが集中してしまい、現実がわからなくなる。こういうときに介護者側での筋立てにこだわらないで、気持ちをなだめる対応が必要になる。

第7法則:痴呆症状の了解可能性に関する法則

以上の第1法則から第6法則までの痴呆性高齢者の心理を考えてみると痴呆性高齢者のおかしな言動も本人側にたつことによって了解可能になるので、このような高齢者の心理状態と現実世界のギャップをうめるように気を配った介護が必要になってくる。

 

 杉山氏は、上記のような7法則を提唱している。痴呆という病気により、基本障害(記憶障害、見当識障害、知的機能の障害)が発生し、「自分の思っている世界」と「現実世界」との大きなズレが生じる。そこにとまどいや、不安、ストレスを感じ、問題行動、精神症状が出現する。

 日経新聞の「福祉ざっくばらん」といなかで「変化より多くの安心を」(有料老人ホーム・グリーン東京社長滝上氏)という記事が書いてありました。一番休まることは、昨日のように今日も過ぎていくこと、自分の話を全く初めてのように最初から最後まで聞いてくれる人がいること。それで十分、変化は必要ない。

 このグループホームの動向を注目したいと思います。

 

 

○特定施設入所者生活介護

有料老人ホーム、介護利用型老人ホーム(ケアハウス)などに入所している要介護者等について、介護サービス計画に基づき、入浴、排泄、食事等の介護、その他の日常生活上の世話、機能訓練および療養上の世話を行うサービス。

この特定施設とは、

有料老人ホーム  

常時 10 人以上の高齢者が、入所し、食事などの日常生活に必要なサービスを提供している施設です。費用は、全額自己負担、入居時に入居金、保証金などの名目で多額の一時金を取るところがほとんどの様です。施設設備、運営費などについて公的な補助はありません。

在宅介護対応型軽費老人ホーム  

低額にて提供される、家庭環境、住宅事情などの理由により居宅において生活する事が、困難な高齢者のための施設です。設置は地方公共団体、または、社会福祉法人。利用形態は、設置者と利用者の契約によります。以下の3つの形態があります。

A型  利用者の生活に当てることができる資産、所得、仕送りなどの収入が利用料の 2 倍程度以下のものであって、身よりがないまたは、家庭の事情などにより家族との同居が困難なかたが入所できる施設。食事サービスつき。

B型  家庭環境、住宅事情などの理由により居宅において生活することが困難であって、利用者が自炊できる程度の健康状態の方が入所できる施設。自炊が原則。

ケアハウス  

自炊ができない程度の身体機能の低下などが認められ、または、高齢などのため独立して生活するには不安があり、家族による援助を受けることが困難な人が入所できる施設。食事、入浴、生活相談、緊急時の対応を行います。構造施設面では、車椅子の利用を容易にするなど高齢者にとってすみやすい環境整備に配慮されています。日常生活上の援助および介護が必要となった場合、外部のサービスを受けることを原則としています。所得制限はありません。

 

 介護保険の施設サービスの対象となる介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設以外に、上記の特定施設に入所されている要介護者には、介護保険においての特定施設入居者生活介護の給付が受けられます。

 

Dさん:

吉岡さんの在宅サービスについての説明を読んでいて思ったのですが、日本人ってどんなに憎しみ合っていても家族は家族で、家族以外の人とは、一線を画している様な気がするのですが、どうでしょうか? それに、農耕民族だったので、土着指向で、旅行に行っても、自宅に帰ると、「あ〜、やっぱり我が家が一番落ち着くね〜」と、つい言ってしまう悲しい性。

私の住んでいる香港ではよく、白人の老夫婦が仲良く旅行しているのを見かけます。それも、何ヶ月もかけて、世界中を点々と旅行しているのです。また、イギリス人と思わしき老夫婦が、地球の反対側から来て居着いてしまい、悠々と老後を過ごしているらしき姿も見かけます。彼らにとっては、そこがどこでも、その人にとって過ごしやすければそのまま居着いてしまうのでしょうね。

しかし、日本人は、「故郷に錦」的なところがあり、海外にいても、心は本国に向いている人が多い。やっぱり、日本の介護は、在宅介護が中心になるような気がしてきました。闇雲な「日本型福祉」は嫁・娘を疲弊させてしまいましたが、今後のテクノロジーと公的支援いかんによっては、楽しい介護生活が過ごせるのでは?

例えば、新聞を読んでいても、超軽量電動車椅子や、座シャワー、段差がないのに洗面所に水が溢れないお風呂など、新製品の話題もつきないし、タクシー会社が介護サービスを始めたりしていますよね。参入企業も増えて、価格競争が起り、値段も下がっているようだし。こういった介護機器購入や、介護のための自宅の増改築費などに対する公的な援助はあったら良いですよね。(もうありますか?)

おまけ: 痴呆患者にとっては、「今日が何曜日か」ということよりも、「いつもと変わらぬ毎日」を過ごすことの方が心安らかだという記事を読んで、妙に納得してしまいました。

塚田:
「介護保険の施設サービスの対象となる介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設以外に、上記の特定施設に入所されている要介護者には、介護保険においての特定施設入居者生活介護の給付が受けられる」とは、つまり、介護保険の範疇で提供される以外で、自費で支払う施設があって、それに対し、介護保険の範囲で入浴、食事など施設或いは外部からのサービスを受けられるということでよいのでしょうか。
吉岡:

自費で支払う施設に入所中の方に対しても、居宅におられる方と同様に介護保険の給付が受けられるということです。この特定施設は、施設ではあるけれど、居宅が集まった集合体と考えればいいのでしょうか。つまり、居宅とみなすという解釈でしょうか。

多分、今住んでいる家を売って老後を有料老人ホームでとお考えの方もいらっしゃるでしょう。それから、現在有料老人ホームに入所されておられる方で、今は介護の必要はないけれど、将来要介護者になる方もいらっしゃるでしょう。そのような方も介護保険の給付が受けられるということです。余力のある方は、要介護認定の申請もせず、自己負担で介護を受けられるのかもしれませんが。

介護保険が制定される前の有料老人ホームの入所者で、入所の際に介護費用を前払いしているようなケースもあります。そのようなケースに対して、この介護費用を返還するのかどうか、いま問題になっているところです。まだ、それぞれのサービスに対する正式な費用(医療保険の診療報酬にあたる介護報酬)が定められていませんので、保留状態のところが多いようです。今後の入所者への契約には、介護保険に関する条項が入ってくるものと思われます。そのあたりをよく吟味して契約する必要があるでしょう。

ところで、介護保険の居宅介護サービスの中には、食事サービスは含まれません。食事の介助は含まれますが、食費そのものは含まれません。衣食住は保険ではまかなわれないということです。もちろん民間サービスには食事のサービスはあります。

特別養護老人ホームや老健施設、療養型の医療施設における施設介護サービスの費用は食費も上乗せされて算定されることとなるのですが、皆さんが、病院に入院したときに支払う食事にかかる負担額(標準負担額)同様に食費の一定額の自己負担分があるようです。

健康保険のなかでも3年ほど前より、この入院時の食事に対する標準負担額が導入されました。家にいれば食事をするのは家計費から。病院に入院していて全額食事を保険でまかなうのはどうかとの論からです。(医療費削減策のひとつでもあるのですが。)平均的家庭の食費、材料費同等を、自己負担してもらおうということです。健康保険の場合は、現在では、1日 760 円の自己負担となっています。(低所得者は 650 円、長期入院の低所得者は 500 円)介護保険の場合はまだ決まっていません。

塚田:

介護老人保健施設に入所する場合は、介護保険で給付することが決められた金額例えば 30 万なら 30 万のうちから、住居費がまかなわれるけれど、ケアハウスにはいるには、住居費は別に自分で支払い、サービスに関して、介護保険で、ヘルパーさんやリハビリ、入浴などのサービスに対し支払いをすると言うことでよいのでしょうか。

 

吉岡:
はい。これもケアハウスを居宅と見なすと考えていいのでしょう。 特別養護老人ホームや老健施設、療養型の医療施設よりもプライベートスペースやプライバシーを守りたいのであれば、やはりお金もかかるということです。これからは、北欧型のケアハウスも増えていくことでしょう。私も実際、米子(鳥取県)にあるケアハウスを見学にいったことがあるのですが、一人部屋、あるいは二人部屋で、部屋から庭に自由に出入りすることができるようになっていました。北欧型のケアハウス(私は、テレビ、雑誌等でしか見たことはないのですが)のように自宅にあった家具を持ってきたり、写真を飾ったりと居宅と同じような環境を作って生活している高齢者の姿とちょっとイメージ的にはかけ離れていたのですが、自分の好きなのれんをかけたり、畳をひいたり、座布団があったりと、日本風の暮らしぶりがうかがえました。
塚田:
特定施設で、提供されるサービスもそれぞれ違うので、どこまでが介護保険が利用でき、どこまでが利用できないのか、なかなかわかりにくいですね。例えば、有料老人ホームでの食事入浴サービスは、介護保険が利かないので、自費で払うのことになるんですね。

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Last updated on 17 September 2001 by Michiko Takeda