オンライン学習会「SOHO」

 

 

15. 在宅ワークとは

中原:

1.在宅ワークの定義

定義としては「家、もしくはその周辺を拠点としたワークスタイル」とここでは結論付けたいと思います。あくまでワークスタイルであり、「在宅ワーク」という職種があるわけではありません。職種(頭脳労働かどうかも含め)やツール(PC・通信手段の有無等)については、特に限定しないのと致します。

なお、「専門技能集団」か「事業家」かという問題については、両面を有すると結論付けたいと思います。営業・マネジメントに特化した方、専門技能に特化した方、仕事によりパートナーを変えてプロジェクトを組む方といろいろなスタイルがとられており、また、この柔軟な行動が在宅ワーカーの特色と考えられるからです。

2.在宅ワーカーの位置付け

「在宅ワーク」という労働形態は、まだ発展途上であり、評価・定義も定まっておらず、認識も十分になされていないというのが現状です(これにともなう弊害は「課題」のパートで述べたいと思います)。

しかし、社会の中では、今までの経済の中心であった大企業を頂点とした企業集団と伍して、次世代の経済の中核を担うべき存在であり、アウトソーシングやバーチャルコーポレーションという経営手法、情報通信技術の発展により、その可能性は、より一層拡大していくものと思われます。

今考えられている利点を以下に示します。

(1)通勤時間の短縮等による生産性向上

(2)職住接近に伴う地域コミュニティーと就労者との密着化と地域活性化

(3)ライフステージ等により選択可能な就労形態の拡大(育児・介護との両立、障害者・高齢者の雇用等)

(4)環境への負荷軽減や均衡した国土利用実現

(5)災害時の危機管理等都市経営上の課題解決等

「在宅ワーク」が進展・普及していけば、効率的で自分や家族も大切にできて多様な働き方を展開できるキーワードになり得ると考えております。これは、自営業のみならず、一般の会社員にも有益と言えるでしょう。

次に拡大・普及の後押しをする要因を以下に示します。

(1)ホワイトカラーの生産性向上の要求(通勤時間短縮、創造性の向上、権限委譲・業務改革促進)

(2)ワーク・ライフスタイルの多様性を追求する生活意識の変革

(3)収入確保から自己実現への就労意識変化

(4)企業組織のフラット化とアウトソーシング・脱系列の拡大

(5)Internet,ISDN,移動体通信等、情報通信ネットワ-クの進化と低価格化

(6)パソコン等情報通信機器の性能向上と低価格化・操作性向上に伴う普及

(7)国・地方自治体等によるベンチャー・地域情報化振興策

しかし、現状では情報機器やオフィス家具、通信教育等の消費市場という捉え方が先行しており、産業としての位置付けには至っていないようです。

3.在宅ワーカーに求められるマインド

まず、在宅ワークは通常の通勤労働より「楽」なものではないということはもうおわかりかと存じます。仕事も自分で確保せねばならず、会社という器で守られていた部分も取り外され、社会保障も不利になります。ステータスになるということもありません。その上で、なお、在宅ワークを選択される場合には、以下に示す心構えが必要となります。

(1)実力・実績に裏打ちされたプライドとプロ意識

・自分の従事している作業に対する責任感と自信とプライド

・自己管理(時間管理)

・リスクの認識

・自分の限界の認識と、向上心

・自分で進むべき道、超えるべきハードルを作れること

・みっともないこと(納期遅れ、美しくないデータ、納期遅延、仕様違いや初歩的なミス等)はやりたくないという意識

・長年続けてきた人と同じだけのスキルを持つ、ということではなく「現在の自分にできる、ギリギリの努力」を常に行なう姿勢

・「ペイするかどうか」という感覚。初心者が「安かろう・悪かろう」の中で使い捨てにされないためにも「そんな値段ではペイしない」と仕事を蹴る勇気

・「プロ」という言葉に付随してくるさまざまな責任(仕事上のものだけでなく、社会的な意味合いのものも含め)について、はっきりとした意識

(2)基本的には自営業者という心構え(内職との関係は前述)

(3)自分で考え、決断、行動する姿勢(昨今頻発している「通信教育を受講したが仕事が来ない」「登録料を払ったが仕事が来ない」というトラブルも、この姿勢があれば回避できたのは?)アンテナを敏感にしてフリーで仕事をすることの社会的位置を自覚し(正しい認識を持つ)、自分にもアクションを起こせること、協力できることがあるなら積極的に参加する。自分の仕事を(交渉も含めて)絶えず省みて研鑚する姿勢。

4.在宅ワーカーに求められる能力

自己管理能力は、このワークスタイルでは、他のスタイルに比べて重視されると思います。その他は、他のワーク・ビジネススタイルと同じかもしれませんが、やはり

(1)専門的能力

(2)自己管理能力

(3)経営能力

が主軸になると思います。これらに付随するものとして以下の項目が挙げられます。

・情報収集能力

・資金調達能力

・リスク管理

・分析能力(報酬の回収リスク、自分の責任の範囲とペナルティー条項の認識)

・様々なプレッシャーへの耐性

・説得・交渉力

・仕事の採算分析

・品質の維持及び向上

・円滑な業務のタイムマネージメント

・円滑な人間関係の維持・構築力

・事業計画立案能力。(業種、業務内容、必要な資金と調達方法、販売先・仕入先、開業後数年の売上高の見通しなどを記載)。

この中で、最初の3点に関しては、皆様、特に苦労しておられるようです。なお、パソコンや資格はあると便利という程度。絶対条件ではないと思います。初期投資に見合った回収の見込みがなければ、かえって足かせになり、無論、「資格やPCさえあれば仕事ができる」わけではなく、ましてや「誰かが仕事を与えてくれる」わけでもありませんので、あくまで道具や知識・技術の棚卸として割り切ることが肝要でしょう。

Tさん:
この「片寄った先行」実感することが多いです。幕張のショーか何かで名前を書いたせいか、 あやしげな「在宅ワークスクーリング」のセールス電話がかかってきたこともあります。
中原:
また、中には、介護等の安価な労働力の供給源と認識している自治体もあるようです。
Tさん:
確かに、介護のために家で働くのも「在宅ワーク」ですものね。中原さんの書いていらした 「プロ意識」というのが、あらゆる側面で必要になってくるのですね。それにしても「主婦」っ て、立派な在宅ワーク!(?)

[前のページへ]    [次のページへ]


オンライン学習会のページへ戻る
WOMのホームページへ

Last updated on 17 September 2001 by Michiko Takeda