女性と医療:医療人権センターへの相談から
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■女性からの相談が7〜8割 ささえあい医療人権センターCOML(コムル)は、医療を消費者の視点でとらえ、患者の自立と主体的な医療参加を目指して1990年から活動している市民中心のNPOです。COMLでは、一人ひとりが「いのちの主人公」「からだの責任者」である自覚を持ち、「賢い患者になりましょう」と呼びかけています。そして、医療者と対話を重ねるなかから、互いに気づき合い、歩み寄ることで、医療現場によりよいコミュニケーション関係を築くことが目的です。 COMLの活動の大きな柱は、電話相談です。これまで11年余の相談総数は2万件を超え、月に300〜400件の相談が届いています。活動当初に比べると、男性からの相談は増える傾向にありますが、それでも7〜8割は女性からの相談です。女性からの相談のうち、本人からと家族の立場としての比率は、ほぼ半々になっています。 ■自分に必要な情報は何かを相談する 患者になったときは、女性や男性という性差よりも、病状、その人自身の性格、考え方、生き方、そのときの置かれた状況などが、受け止め方に大きな違いを生じさせます。そのため、男女の性差による相談の特徴は、さほど感じられません。 最近は市民検診が普及し、「検診の機会がなくて病気の発見が遅れた」という主婦からの相談をあまり聞かなくなりました。そして、健康への関心の高まりから、乳がんや子宮がんなどの病気の徴候について知識を持っている人も増えてきました。 ただ、いざ病気が判明し、あるいは疑いが生じたときに、「どの医療機関にかかるか」は大きな問題です。書籍や雑誌、インターネットの普及などで、情報は溢れんばかりに飛び交っています。しかし、たくさんの情報を集めても、いったいどの情報が自分に有効なのか、何を選択すればいいのかに迷い、悩んだ末の相談が増えています。 日本の医療現場には、まだまだ厳しい広告規制があって、患者が医療機関を選ぶ際にほんとうに必要な情報はなかなか公開されていません。たとえば、医者の専門分野や治療実績などは、いまも公開できないのです。また、本や口コミで名医と聞いて受診したら、高圧的な態度で患者の話に耳を貸そうともしなかったなど、会ってみなければわからない人柄や相性の問題もあります。 ■患者も医療の主体者になる努力を そこで、COMLでは、まず患者一人ひとりが、自分はどのような医療を受けたいのかをじっくり考えること。つぎに、その思いを満たしてくれる医療機関であるかどうかなどを判断する基準にしてみてはどうかと考えています。あくまでも、選ぶのは患者です。もし、「質問しても嫌な顔をせず丁寧に説明してくれる医者」を探したいなら、実際にいろいろと質問して、どう対応してくれるかを見極めて選ぶこともできます。 つぎに、医療機関を選んだならば、自分がどういう医療を受けたいかを言語化して医療者に伝え、相談することが大切です。そのためには、患者にもコミュニケーション能力が必要になってきます。 インフォームド・コンセントという言葉が日本に上陸し、11年が過ぎました。言葉自体は定着したかのように見受けられますが、一方的な説明をインフォームド・コンセントと解釈している医療者も日本では未だに少なくありません。COMLでは、インフォームド・コンセントを「説明と同意&理解と選択」と解釈して、"協働する医療"を提案しています。説明して同意をとりつけることは、医療者側の責務。そして、知りたいことを質問して「理解」する努力をし、複数の選択肢から自分が受けたい治療方法を「選択」することが、患者が分け持つ半分の責務と考えています。 患者の「個別性の尊重」が重視され、どんなときでも一人ひとりの「自分らしさ」が大切にされる医療。そのためには、自分の言葉で希望を伝え、医療者と協働作業するために患者自身が主体的に医療に参加する意識改革が必要になってきます。 しかし、患者の不安や悩みに向き合い、あるいは患者の自己決定を支援する体制が整っているとはとても言えないのが日本の現状です。COMLに届く相談でも、「本音を吐き出す場がない」「家族すら悩みを聞いてくれない」と訴える相談者が後を絶ちません。個々の医療機関のなかに「よろず相談窓口」を設置することと、白衣を着ずに、中立な立場で患者の声に耳を傾けるコーディネーター的存在が必要になっていると思います。 ■患者会への参加 現在、第三者機関として医療全般の相談を受けつけている窓口は多くはありません。ただ、女性特有の疾患でいうと、乳がんや子宮がん、子宮筋腫、子宮内膜症などの患者会が活発に活動し、自助グループとしてのサポート機能を果たしています。 COMLに届く相談のなかで、「同じ病気を持つ人の話を聞いてみたい」「生活上、どのような工夫をしているのか知りたい」という方には、そのような患者会を紹介しています。 各種の患者会・障害者団体は、日本各地にあり、COMLが把握しているだけでも1266団体にのぼっています(『全国患者会障害者団体要覧第2版』プリメド社発行・COML協力)。同じ病気を持った人同士が、互いに必要な情報を交換し、ささえあう場として、「一人で悩まない」ために貴重な存在だと思います。ただ一方で、同じ病気であるが故に、病状や進行度を比較したり、病歴の長短で思いに差が出たりすることがあってか、1つのグループとしてまとまりにくい面もあると聞きます。やはり、患者会の構成員が目的を明確にし、それを共有し合ってこそ、患者会の意義が生まれるのではないかと思います。 ■家族の立場として 最近の電話相談で急増しているのは、若い母親からの育児相談で、全体の約1割を占めます。ちょっとした症状で不安になって育児書を見ると、恐ろしい病名ばかりが目につき、一日中子どもに向き合っていることで、ささいな変化にも神経質になってしまう。また、育児書通りに子どもが成長していないという不安。そうした漠然とした不安を抱えて「これは病気なんでしょうか?」「病院に行ったほうがいいのでしょうか?」と、"判断"を求める相談が目につきます。マニュアル志向と言われる若い世代に対する社会的な環境整備の必要性が問われてくると思います。 また、日本では子どもが病気になった場合、奔走するのはほとんど母親です。国内では、患児以外の子どもを安心して預けられる施設が整備されていないため、家事と病院通いに疲れて余裕を失っている母親に対するサポートシステムも必要だと思います。小児科の場合、病院(施設)内に母親のサポートグループを作っているところもありますが、医療者との対等性を保ちながら、自立したグループとして位置づけられていることは、まだまだ少ないようです。 つぎに、夫や親が病気の場合、電話相談をお聞きしていると、妻や娘が「何とかしなければ」と問題を抱え込み、ともすると患者不在に陥っていることに気づかず一人悩んでいることが多いようです。COMLでは患者自身の気持ちを尊重するために、まずはよく話し合うこと。そして、あくまでも家族は患者の気持ちを支える立場に徹することをアドバイスします。 いずれにしても、日頃から「どう生きるか」「もし病気になったら……」を考え、医療現場に参画することが多い女性が、家族で話し合うための中心的役割を担っていくことで、患者の主体的な医療参加を実践し、日本の医療を変えていく力になると思います。 |
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WOMの関連ページ 子どもと女性の医療・福祉相談窓口 関連リンク
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私たちの現在では、日本の女性と子供の人権に関わる社会問題に取り組んでいる個人・グループに、それぞれの分野について報告していただます(内容は2001年10月時点でのものです。)
また、現代日本女性の生き方を海外に紹介する目的で、英訳「Japanese Women Now」をWOM英語版ホームページに掲載しています。
今回取り上げたトピックは、ドメスティック・バイオレンス、夫婦別姓、介護、女性の就労、セクシャルハラスメント、雇用機会均等法、 シングルマザー、児童虐待、女性と医療、 リプロダクティブ・ヘルスです。一覧は、こちらです。
WOMでは、これらの人権問題に悩む人が利用できる全国の相談窓口データベースを作成中です。女性と子供の人権に関する相談機能をお持ちの公共機関・団体・市民グループからの情報を募集しています。詳しくは、 子どもと女性の医療・福祉相談窓口 をご覧下さい。
このコーナーは、(財)女性のためのアジア平和国民基金より2001年度自立活動助成金を受けて作成いたしました。
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Last Updated January 15 2002, ©2001 Women's Online Media 禁無断転載