大学におけるセクシュアル・ハラスメント
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■はじめに 日本で「セクシュアル・ハラスメント」という言葉が一般に認知されたのは1989年のことだが、教育の現場にもセクシュアル・ハラスメントが存在することが理解され始めたのは、もっと最近になってからである。このページでは、主に大学でのセクシュアル・ハラスメント(通称"sexual harassment on campus"、以下SHOCと略記)に焦点をしぼって、1990年代から現在に至るまでの状況のあらましとそれに対する運動の概況を述べる。 ■社会的認知のきっかけと問題の所在 社会的に広くSHOCが知られるようになった一番大きなきっかけは、京都大学教授が元秘書に対してセクシュアル・ハラスメントを行っていたという疑いによって辞職し、元秘書が人権救済の申し立てをしたという事件がメディアで報道されたことであった。1993年のことである(矢野事件)。 SHOCの特徴は、(1)大学教員の高い社会的・学内的地位の悪用であること、(2)大学教員の世界が圧倒的な男性社会であり、被害を受けやすい女性の声が通りにくいこと、(3)特に学生・大学院生に対する場合、労働におけるセクシュアル・ハラスメントと異なり、教育を受ける権利や学問研究を行う自由の侵害であること、などがあげられる。 「大学人は高潔であり、セクシュアル・ハラスメントなどあり得ない」という思いこみ、大多数を男性が占め、知らず知らずジェンダー・バイアスのかかった雰囲気の中で日々生活していることの無自覚、研究分野が細かく専門分化しているが故の「この大学・この教授の下でしかこの研究はできない」という逃げ場のなさが、SHOCを生み、被害者の声を無言のうちに押さえつけてきたのだ。 矢野事件以前にも琉球大学(教授から留学生へ)、三重大学(教員間)などでSHOCの訴えがあった。しかし、広く知られるようになったのはこの事件の後である。 ■SHOCに対する運動 1994年6月に日本女性学会が文部大臣宛にSHOCへの対応を求める要望書を提出し、7月に発足した「東京大学女性教官懇話会」が「大学内での女性差別やセクシュアル・ハラスメントの究明」を目的に掲げたことが、SHOCに対する運動の先駆けとなった。 1996年には名古屋大学の大学院生有志や福島大学の教員有志が、それぞれSHOCを考えるホームページを立ち上げ、社会的認知を促した。この頃から全国規模での連携の必要性が論じられるようになり、1997年9月には渡辺和子(故人)らの呼びかけによって「キャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワーク」(shoc-net)が結成された。 shoc-netは地域ごとに10のブロックに分かれており、各ブロックごとに被害の相談や情報収集、被害者への支援や研修プログラムの開発などを行なっている。また、全国レベルでの集会やニューズレターの発行も定期的に企画・実施されているとともに、日常的にはメーリングリストによる情報・意見交換が行なわれている。政府、裁判所、各大学等への働きかけも必要に応じて行なわれている。 ■SHOCの現状 ある調査では学部学生の約15%、大学院生の約34%、教員(常勤・非常勤とも)の約36%がセクシュアル・ハラスメントを経験しているという。(1995年の女性学教育ネットワークの調査による。)これまでの訴えの少なさは、決してセクシュアル・ハラスメントの少なさによるものではなく、訴えを抑える力が働いていたからと考えるべきである。現在でも少なからぬ数の事件が生じていると推測される。 数あるSHOC事件のうちには訴訟となったものもある。東北大学訴訟では原告である被害者の意見をほぼ全面的に認め、過去の日本国内のSHOC訴訟にはなかった高額の賠償を命じる判決が出て(1999年6月一審判決、2000年7月控訴審判決)、その後の判決の流れを決定づけた。 また、shoc-netなどの運動団体の働きかけによって、各大学で個別にSHOCへの対応が進むとともに、1999年3月には文部省(現文部科学省)からセクシュアル・ハラスメントの防止に関する規定が訓令として各学校へ通達された。各大学では独自にSHOCに関するガイドラインを作成し、学生および教職員向けの相談窓口を設けるところも増えた。こうした大学では学生への周知・広報も行なわれている。また、少ない数ではあるが、教職員に対する研修も実施されている。 各大学の対応の結果、SHOCに対する訴えは現在急増している。文部省は2000年秋には数十件の国立学校教職員の処分案件を抱えていたと言われている。 ■おわりに SHOCの問題は決して終結していない。現在も多数の訴えがあることがそれを示している。現在の課題は、いかにして被害者救済を進めるかとということとともに、被害の発生を抑える効果的なシステムを作り上げることである。 また、大学だけでなく小・中・高校やその他の学校でのセクシュアル・ハラスメントの問題もある。これらについては「スクール・セクシュアル・ハラスメント」という概念で語られており、やはり全国規模での対応ネットワークが活動を行なっている。 |
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WOMの関連ページ オンライン女性学辞典 関連リンク キャンパス・セクシュアル・ハラスメント全国ネットワークホームページ 名古屋大学でセクシュアル・ハラスメントを考えるネットワーク(NSNW) キャンパスのセクシュアル・ハラスメントを考えるホームページ(ShocWeb)
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私たちの現在では、日本の女性と子供の人権に関わる社会問題に取り組んでいる個人・グループに、それぞれの分野について報告していただます(内容は2001年10月時点でのものです。)
また、現代日本女性の生き方を海外に紹介する目的で、英訳「Japanese Women Now」をWOM英語版ホームページに掲載しています。
今回取り上げたトピックは、ドメスティック・バイオレンス、夫婦別姓、介護、女性の就労、セクシャルハラスメント、雇用機会均等法、 シングルマザー、児童虐待、女性と医療、 リプロダクティブ・ヘルスです。一覧は、こちらです。
WOMでは、これらの人権問題に悩む人が利用できる全国の相談窓口データベースを作成中です。女性と子供の人権に関する相談機能をお持ちの公共機関・団体・市民グループからの情報を募集しています。詳しくは、 子どもと女性の医療・福祉相談窓口 をご覧下さい。
このコーナーは、(財)女性のためのアジア平和国民基金より2001年度自立活動助成金を受けて作成いたしました。
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Last Updated January 15 2002, ©2001 Women's Online Media 禁無断転載