日本における女性の就業の現状
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■相変わらずのM字型就業形態 わが国の雇用労働者に占める女性比率は39.7%(1999年)で、世界的に見て高い方ではない。年齢層別ではM字型を示しており、結婚、出産、育児期に労働現場から離脱することは、2020年においても改善されないだろうとの予測が出ている。女性が一生を通して仕事を続けることが出来ないという事実は、台形状になっている先進資本主義国とは決定的に異なり、実態として女性が働きやすくなったとは言えない。現在の日本の「女性の働き易さ」指標はOECD加盟23カ国中19位で、1990年の16位からまた低下した。 しかし女性の就業継続意欲は年々高まっており、大卒女性の場合には、「継続就業」型が57.1%と、「出産・結婚中断」型の28.7%を大きく上回っている(「高学歴女性と仕事に関するアンケート」日本労働研究機構調査1998年)。今後、早急に継続型就業を可能にする保育対策や賃金の平衡などの対策が不可欠となろう。 ■低い女性の管理職比率 わが国の管理職全体に占める女性の割合を役職別にみると、部長相当職では1.6%(1998年度1.2%)、課長相当職が2.6%(同2.4%)と上昇したものの、係長相当職が7.7%(同7.8%)とわずかながら低下した(2000年度女性雇用管理基本調査) 女性の管理職が少ない理由として、「必要な知識や経験、判断力などを有する女性がいない」「勤続年数が短く、役職者になるまでに退職」等となっている。このような事態は均等法が制定されてから17年も経たのに遅々として変わらない。さらに、企業の女性活用状況を尋ねた調査では、女性の登用を進める対策を「何も行っていない」企業が88.6%を占めたほか、「女性活用計画を策定」を「行っていない」が89.3%、「中間管理職や同僚男性に対し、女性活用の重要性についての啓発」を「行っていない」も84.7%と、本当のところは未だ何も手がつけられていないのである。 ILO調査(1995年)では、アメリカの女性管理職比率は、49.3%(1995年)とほぼ男女同数になりつつある。一方、日本の女性の管理職比率は21カ国中最下位で、日本は仕事に責任を持って働いている女性がきわめて少ない国だといえよう。 ■配偶者控除の枠内で働く女性パートタイム わが国では1960年代後半以降、男性はフルタイム労働、女性はパートタイム労働(派遣労働・契約社員等)と家事育児という、性による役割分担に基づく就業形態の区分けが明確になった。ただ、日本におけるパートタイム労働の問題は他の国とは比較にならない困難な問題を抱えている。パートタイム就労にはあらかじめ「雇用期間」が設けられ、雇用契約を繰り返し更新しながら就業するため、期間満了時に契約更新せず労働契約を終了させる、いわゆる「雇止め」が行われている。パートタイム労働者の7割が既婚女性で、彼女たちは労働者でありながら被扶養者というきわめて特殊な存在である。所得税の非課税限度額103万円は、夫の所得税・住民税の配偶者控除の適用可能限度額でもあり、その範囲内で就労するパートタイム労働者が多いため、「103万円の壁」と呼ばれている。また、年収130万円以下の場合は、国民年金の第3号被保険者(夫が厚生年金に加入している場合、保険料が免除される)となる。これらの社会制度が、パートタイム就労の低賃金構造の温床となっている。 現在、2004年の公的年金改革に向けて、年収65万円以上のパートタイム就労者も厚生年金に加入させる政府案が出ている。いつまでも既婚女性は配偶者控除の枠の中で劣悪な条件で働く「身分」差別を我慢しないだろう。パート差別は「間接差別」であるという常識が早くうち立てられてほしいものだ。 ■オランダの「パートタイム革命」に注目 1997年のOECDレポートによると、最もパート比率が高いのはオランダで、女性のパート比率は67.9%である。産業別パート比率では63%が保健・非商業サービス部門で、介護・看護やケア労働が中心だ。オランダは、「オランダモデル」や「パートタイム革命」といわれる、パートを中心とした産業構造の変革によって、EUの優等生といわれるまでの経済復興を果たしたことで有名である。 その基盤となったのが、使用者は雇用確保を最優先し、労働組合は自主的な賃金抑制に合意し、政府は財政支出の抑制と減税を行うとした、政府(首相)と労組(FNV)と使用者側(オランダ経団連VNO)三者による「ワッセナー合意」だった。 またパートタイム労働を制度として確立するために、1996年11月、「労働時間差」差別を明示的に禁止する差別禁止法の改正措置がとられた。これによりフルタイムとパートタイムの賃金格差が縮小(最大5%)し、社会保障制度の差別もなくなったとされる。すでに80%の企業が、パートタイムとフルタイムの賃金や付加給付の均等待遇を実施しており、「労働時間差」差別禁止は抵抗もなく使用者側にも受け入れられていった。 1987年から実施されていた年金の個人化に合わせて、1990年からは所得税制も個人化され、週労働時間が3分の1以下のパートタイム労働にも最低賃金が適用され、各種の社会保険は原則加入となった。 パートタイムとフルタイムの就労を差別のないものにすることで、実際には大幅な時短が可能となりワークシェアリング体制が生まれた。これがオランダのパートタイム革命の核心部分であり、オランダの奇跡の秘密であるといわれる。日本でも「オランダモデル」の検討が始まっているが、パートの「差別禁止」や待遇改善の視点がないままに経費節減のみに奔走しがちであり、問題である。 ■ポジティブ・アクション政策のスタート 1965年の国連の人種差別撤廃条約のスタートを機に、世界では1960年代後半からクオーター制(北欧)、ポジティブ・アクション(EUなど欧州)、アファーマティブ・アクション(米・カナダ・オセアニア)の名で積極的平等政策が取られてきた。世界の国々がこの制度を導入しているのは、女性の力が発揮されることなくして企業を含めたすべての分野での活性化はないとの考えが浸透してきたからでもある。 遅れること30年。やっとわが国でも改正男女雇用機会均等法(1999年)と男女共同参画社会基本法(1999年)によってポジティブ・アクションの導入が可能となった。平等な社会をつくるには、「差別をなくす」段階と「平等をつくる」段階の2つがあり、憲法第14条の性による差別を許さないという規定だけでは平等はつくれない。ポジティブ・アクションは、「平等をつくる」段階を指し、過去における社会的、構造的な差別によって現在不利益を被っている集団(女性や人種的マイノリティ)に対して、一定の範囲で特別な機会を提供し、実質的な機会均等の実現をめざす暫定的な特別措置で、積極的差別是正措置という。しかし、企業の周知度はまだ低いのが現状だ。 ■女性とリーダーシップ 21世紀には、新たな企業文化や豊かな経済社会の構築を目指して、女性の登用を進める動きも活発化するだろう。そして今後は、女性に対してキャリアアップトレーニングやカウンセリングなどの情報提供を通じて、やる気や職業スキルの向上を目指すと同時に、役割モデルとしての女性管理職を大幅に増加することが課題となろう。わが国でもウイメンズ・イニシアティブ(WIAJ)が、企業の女性活用推進をテーマにセミナーやワークショップの開催など活動を始めている。 |
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WOMの関連ページ 子どもと女性の医療・福祉相談窓口 オンライン女性学辞典
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私たちの現在では、日本の女性と子供の人権に関わる社会問題に取り組んでいる個人・グループに、それぞれの分野について報告していただます(内容は2001年10月時点でのものです。)
また、現代日本女性の生き方を海外に紹介する目的で、英訳「Japanese Women Now」をWOM英語版ホームページに掲載しています。
今回取り上げたトピックは、ドメスティック・バイオレンス、夫婦別姓、介護、女性の就労、セクシャルハラスメント、雇用機会均等法、 シングルマザー、児童虐待、女性と医療、 リプロダクティブ・ヘルスです。一覧は、こちらです。
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このコーナーは、(財)女性のためのアジア平和国民基金より2001年度自立活動助成金を受けて作成いたしました。
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Last Updated January 15 2002, ©2001 Women's Online Media 禁無断転載