レズビアン情報誌〜Anise(アニース)〜編集部訪問
わたしの感じたこと1


●レズビアン情報誌、Anise(アニース)創刊!

 セクシャリティ分科会のメンバーである私は、東京ウイメンズプラザのグループ 情報のコーナーで、小さな小さなピンク色のチラシを手にしました。

「日本で唯一のレズビアン情報誌、Anise(アニース)for womyn。『フリーネ』 休刊にともない、そのスタッフが新雑誌を準備中!女を愛する女たちへ、5月創刊」

 へえ、こんな雑誌ができたんだ。別に「セクシュアリティを考えること=同性愛を 考えること」というわけではないのだけれど、異性愛(ヘテロセクシュアル)にどっ ぷり浸かっているとセクシュアリティに対する感性が鈍くなってしまうのは確かです。 この雑誌を創っている現場の方々のお話を聞くによって、そんな鈍りがちな感性を磨 き直すきっかけになりはしないだろうか、さらにはレズビアン同士の情報を求めてい る人たちに、この私たちの取材が少しでも役に立たないだろうか、そんなことを考え て、今回の取材を決めました。


●編集部はこんなところ

 世界有数のゲイタウン、新宿2丁目からほど近い場所に、そのオフィスはありまし た。迎えてくれたのはテラ出版アニース編集部の萩原まみさん、小清水ゆうさん、 そして少し遅れてデザイナーのつるみつるさんでした。心地よい音楽が流れる中 (と言っても、取材者の個人的な趣味かもしれない(^^;。"IN FLIGHT entertain- ment"というイージーリスニング集でした)、陽がたっぷり当たるこぎれいなオフィ スに通された私たちは、Anise創刊までの経緯やその展望など、うかがいました。
●はじめにフリーネありき

 Anise創刊を語るに当たっては、その前に創刊されたフリーネ(PHRYNE)という 雑誌について説明する必要があります。フリーネは1995年の5月に第1号が発行され、 同じ年の9月に発行された第2号を最後に休刊となってしまったレズビアンあるいは バイセクシュアルの女性のための専門商業誌でした。しかも一般誌と同じ流通経路に 乗せて、書店売りをするというふれこみの雑誌でした。

 しかし第1号(1995年12月にリニューアルされる前のコミック誌「ぶ〜け」タイプ のコンパクトで厚みのある体裁で、表紙は桜沢エリカ。コミックと小説半々で斎藤綾子 さんの小説なんかもあります。その他は文通欄や情報のページなど)の売れ行きは予想 を下回り、リニューアルした第2号(一転してグラビア中心の大判サイズになりました。 表紙はミュージシャンの 笹野みちるさん)も残念な結果となり、これでは商業誌としてやっていくことは できず、1995年の12月に休刊となりました。

 このフリーネでは、それでも読者からの手応えがしっかりと感じられ、2号を通じた 読者からの反響の手紙は3000通あり、中でも文通欄への掲載希望は第2号に対して500 通弱ほどあったとか。読者に好評だったページもやはり文通欄、イベントやお店情報、 カップルのお宅訪問などで、身近な情報のニーズが高いことがうかがえます。この読者 からの反響を無駄にしたくないという編集部の願いが、このたびのAnise創刊への原動 力となったことはまちがいないようです。


●仕切直して...

 そんな編集部の願いが通じたのか、ゲイ雑誌ではナンバーワンの地位を確立している バディを出しているテラ出版からレスビアン雑誌創刊の 話をもちかけられました。それがAniseです。定価800円。A5判。160ページ。そして 5月2日創刊。それが今現在決まっていることです。

 フリーネと同じコンセプトでは、また失敗してしまうかもしれません。ではAniseは どんな雑誌を目指しているのでしょうか。

 まずはレズビアン、バイセクシュアルに対象を限定せず、もっと多様なセクシュアリ ティ、たとえばTA(トランスジェンダー:性転換者のこと)のことを視野に入れた雑誌 づくりを目指すとのことです。また、ついつい見過ごされてしまうことですが、ヘテロセ クシュアルだって実は全然突き詰めて考えられていない(一番考えられていないと言っ てもいいかもしれない。たとえばクリスマスイブの夜、あらかじめ予約したレストランで、 彼氏から流行のアクセサリーを贈られて大喜びできる女って、いったいどれだけいる?) わけです。だから「私、レズじゃないから関係ないも〜ん」なんてこと、言ってられない んですよね。そんな人にも読んでいて自分のことを見つめ直すいい機会になる雑誌になる んじゃないか しら。

 また、レズビアンだけでなく、女性全般に役立つ情報づくりも目指したいとのことで す。すなわち産婦人科医からの知識や女が経済的に自立するための方法などです。ただ これらの情報は特にレズビアンとして生きていくことを選んだ女性にとっては切実な問題 なのです、特に自立の問題は。なぜなら、現在の世の中は結婚をする男女を前提として作 られているし、女性の労働は男女別平均賃金を引き合いに出すまでもなく、まだまだ男性 のそれに比べると低く見積もられていて、レズビアンとして生きるということは、これ ら制度の中のオイシイ部分に背を向けて生きていくということだからです。

 こんなコンセプトでAnise第1号は作られます。特集は「映画」。これはゴールデンウ イーク明けに催されるイベント、東京国際レズビアン&ゲイ・フィルム&ビデオ・フェスティバル を意識したものです。

 さて、どんな雑誌になるのでしょうか。乞うご期待(^^)!


"womyn"は"women"の間違い?
 いいえ、これはwomynでいいのです。
 "woman”の語源を辿ると、"man"に対する「他者」の意味です(古代英語で女性を 表わす単語"wifman"="wif"+"man"で、"wo"は"wif"を起源にもつ)。これは自分の アイデンティティにこだわる女性にとって、言い換えの必要を感じることにもなりうる 言葉なんです。つまり"woman"は"man(=人間)にとっての他者である意味を表わす "wifman"の名残がある限り、自分の属性を表わす言葉として違和感を感じる人もいる ということです。ここではあえて自分を肯定する意味を込めてこの言葉を使っていると 理解していいと思います。

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Last Updated 1 Apr. 1996 by Seiko Fujii