
世界のワーキングウーマン事情
〜ロサンゼルス編
1. 人々の働きぶりは、どんな感じか。
(就業時間、就業態度、職場環境)
米国では、特殊な技能職や超エリートを除けば、8AM −5PM もしくは 9AM −6PM の8時間労働(9時間拘束)が一般的です。又、
フレキシブルな就業時間を採用している企業も多く、就学児童を抱えた 母親等は、子供のお迎えの為、7AM − 4PM等と早朝から働く事も 多々あります。
2. 女性のキャリア・パスについて。
(女性管理職・専門職の割合)
日系企業においては、日本から派遣された駐在員と現地採用の社員との間に 歴然とした待遇の差、まして日本人の女性に対する甘えが依然としてあり、
長年勤続したとしても、上級管理職まで行き着ける女性は少ないようです。
米国企業では、EEO (イコール・エンプロイメント・オポチュニティ) 男女雇用均等制度が大前提なので、優秀な女性の登用は比較的あると 言えますが、日本人の女性に関して言えば、自己アピール・リーダーシップの
弱い国民性が災いして(?)また、米国人との英語力の決定的な差によって 今一つというところです。 又、事務職での中間管理職に限定すれば、圧倒的に女性の方が多いと思います。
3. 結婚、出産後も働きやすい環境か。
(産休、育児休暇等の制度)
これは米国社会に広く浸透している常識で、日本のような「寿退職」など 全くありえない環境です。 よほどハイソサエティの御婦人か身体的、能力的に問題でもない限り、
成人女性が仕事を持たない事の方が不自然と考えられています。 産休は二ヶ月(無給なので失業保険を申請する)が一般的で、赤ちゃんが 生後6−7週間から夜間 6時間程睡眠するようになる所から
割り出されている期間のようです。 この為、皆妊婦は出産予定日ぎりぎりまで出社してきます。
4. 保育施設、保育制度について。
(保育の時間、方法、値段)
ベビーシッター、ナーサリースクール、デイケアーセンター等 どの町にも多数あり、充実しています。但、一ヶ月の保育費用は $300−$500位で安くはありません。二人以上の幼児を
もつ家庭の中には、お手伝いさん($600−$800くらい)を 通いで雇っている人もいます。
これは、3の答えとも重複しますが、”パタゴニア ”という スポーツ衣料品のメーカーの例を挙げますと、10年以上前から、 社内に社員専用の未就学児の保育施設
が設けてあり、昼休みや 休憩時間には母乳を与えに通う女性社員の姿が多く見られるようです。 又この企業では、男性社員の産休、育児休暇も奨励されており、 有名なモデルケースとして、各方面より注目を浴びています。
5. 男性の家事、育児への貢献度。
(家事、育児を分担する時間、方法)
これは各家庭、個人によりまちまちだと思います。
家庭内の電化は非常に進んでおりますので、 上記の電気製品はどの家庭にもあり、米国においては、家事に 女性的な技術は余り要求されません。寧ろ "DO IT YOURSELF"
精神の行き渡った社会ですし、まして車社会てすので、メインテナンス等 家庭内に男手が無い方がよっぽど不自由なくらいです。
問題は、電化されようが無い 「育児」で、この点では米国の男性は 日本人に比べれば大変進んだ考えを持って積極的に関わろうと しているようです。 離婚の際、殆どの日本人男性が子供の養育権を放棄し、養育費の
負担の方を選ぶのに対し、アメリカの男性は父親である事を 決して諦めず、裁判で争ってでも養育権を確保しようとする ケースが多々あります。
小学校の父兄会、PTA、催し物などに出席する父親の数には 毎回驚かされます。大半は御夫婦同伴で参加するようです。 考えてみれば夫婦二人の子供なのですから、まして、夫婦
共働きなのですから、当たり前とも言えますが。 ベビーシッターに未就学児の世話を頼んでまで夜間の父兄の 集まりには両親が顔を出します。 長い歴史の中で、自分の両親も同様だったので当たり前
と思っているのかもしれません。
但、これは比較的裕福で、高学歴の白人家庭での場合が多く、 アメリカ人、米国社会と一口に言っても、人種、学歴、年収、 育った環境など多種多様、雑多な社会なので、良く言われる
「米国社会では…」式の十把一からげ的な結論では語りきれない 部分も多くあります。ご了承下さい。
6. 就労するのに必要な条件等。
(就労ビザ等の取得方法、取得条件)
米国市民権を保有する者、永住権保持者、労働許可付きのビザを 持つ者に限られると思います。 米国人や永住者と結婚することが一番簡単な取得方法ですが、
特殊技能を保有する事を証明できれば、個人での申請も 可能です。
7. その他
(ユニークな習慣、制度、等)
圧倒的にシングルパレント(母子、父子家庭)の多い米国。 離婚の後も子供の養育に関して週に3日半づつ負担すると 取り決めて、ピンポン玉のように子供が両方の家を行ったり
来たりするケースもあります。 でも、私を含めて社会で頑張っている(頑張らざるを得ない) 女性の大半はシングルマザーです。 そして、日本に比べればかなり恵まれた環境にあると
思っています。
何といっても、就職事情が違います。私の場合、十年以上同業の職場で、 (転職は7回もしましたが)仕事を続けておりますので、 先月転職をした時にも、ステップアップ(給与、待遇)で
すんなりと決まりましたし、四十歳になった今でも 登録している人材斡旋のエージェントからしょっちゅう 引き抜きの声が掛かります。
五年前、離婚をした時点で、日本に子供と一緒に帰ろうかとも 考えましたが、日本での就労経験は短大後のOL時代の二年だけ。 多少英語が話せるくらいで、三十代後半の女性が世帯主となって
子供を養って行くのは、日本では到底不可能と判断しました。 本当に、スーパーのパートのレジ打ちくらいしかなさそう でしたので。
その他の恵まれていると感じる点は、物価の安さ、住宅事情の 良さ、「世間の目」の煩わしさが一切無い成熟した大人社会で ある事、離婚があまりに一般化して、子供が学校などで引け目を
感じずに済む事、等です。無論保育施設や、ベビーシッターの 手配も楽ですし、私は税制や福祉制度に明るくないので詳しくは 存じませんが、低所得の母子家庭に対する福祉は手厚く、それが
却ってティーンエイジャーの未婚の母を増やす原因となっている と聞いた事があります。
また、アメリカ人は外食好きです。外食費が日本に比べて 比較的安価であることも要因のひとつですが、母の手料理を 美徳としない社会風潮にも大きな要因があると思います。
十七年前、初めて米国に渡り近隣の公立英語学校に(無料でした) 出席した時、初日の授業で三十歳くらいの女性の教師が自己紹介を しました。「自分は結婚7年目で、二人の子供の母親です。趣味は
旅行です。云々…」ごく普通の自己紹介でしたが、最後に 「私は料理は好きではありませんので、一切しません。」と 締めくくりました。日本から来たばかりの私は仰天しました。
女優さんでもない普通の主婦が 「私は料理はしません」なんて 胸張って、公言してはばからないなんて、日本ではその時代有り得ない ことでしたから。
例え苦手でも、世間体を繕う為若い女性は一応、習ったり、出来る ふりをしたり、頑張ったものでしたし… よくよく考えれば、 このポーズはすべて「男性の目」を気にしての事だったのだと
気づいた時の私のカルチャーショックはかなりのものでした。
私のその時の一言 「あ…、そうか。良いのか…、言っても。 嫌いなものは、嫌いだって…。」
作者プロフィール
秋葉淳子(AKIBA ATSUKO)さん。在米17年 (40歳)。 1981年に日本人(米国永住者)と結婚の為渡米。 以来兼業主婦のかたわら1987年出産、1993年離婚。
現在十歳になる息子と二人暮らし。 仕事は日系企業の秘書、事務職などを経て 主に輸出通関代行業(FREIGHT FORWARDER)。 現職は日系専門商社のASST.MANAGER。
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Last updated on 2/11/98 by Shimada