世界のワーキングウーマン事情
〜フィリピン編



我が家で家事&子守りをしてくれているフィリピン人の メイドに、フィリピンのWW事情を聞いてみました。

1. 厳しい雇用環境

フィリピンの都市部では、雇用契約期間は平均して、 5〜6ヶ月と非常に短く、更新されることは非常にまれなので、 次々と職を転々としなければならない。

しかも、最低、短大は卒業していないとまともな職業には 就けない。マクドナルドで働くのにさえ、大卒は必須。 その他、身長や、ルックス、パーソナリティなど、 すべての面で基準をクリアしなければならない。

それにしても、何故雇用期間は更新されないのか。 それは、1人の人を長い間雇用していたら、契約を更新する 度に昇給をしなければならないし、市場は供給過剰で、 代わりの人材はいくらでもいるからだ。

農村部には、大地主がいて、大勢の小作人やメイドを使い、 相変わらず労働者を搾取している。

農村部に住む女性は、そこにとどまる限り、大地主の農場で 働くか、メイドとして働くしか、道は残されていない。 そして、ゆくゆくはその地に住む、小作人の男性(大部分は 大酒のみで怠け者)と結婚し、4〜5人の子供を産み、 一家の生計を支え、夫の酒代を稼ぐために働かなければならない。

そこで、少しでも生活を改善しようと思ったら、 都会に出て、仕事をしながら夜間は大学に通うことになる。 (大部分の家庭では子供を大学に通わせる学費を 捻出することができない)

しかしながら、都市部では農村部に比べて物価も格段に高く、 親、兄弟、などへの仕送りをすると、手元にはほんの わずかな金額しか残らず、転職を繰り返えさざるを得ないので、 何年働いても最低の賃金しかもらえない。 結局、いつまで経っても貧しさから抜け出ることは出来ない。

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2. フィリピンの英雄(海外に出稼ぐ人々)

そんな中で、海外へ出稼ぎに行った女性だけは特別で、 家には、冷蔵庫や洗濯機をはじめ家電品に溢れ、きれいに 着飾ることが出来る。

一番、高給を取れるのは、やはり、日本に出稼ぎに行くことだが、 名目は「ダンサー」でも実質はホステス。運が悪ければ、 売春をさせられる可能性さえある。

次に高給なのは、香港などでメイドとして働くこと。 給与水準からすれば、ダントツで香港、続いて、シンガポール、 マレーシア、中近東と続く。 香港で、メイドとして働くと、マニラの一般的なオフィス で働く2倍の給与がもらえる計算になる。

彼女は、中近東でも働いたことがあるが、朝は5時から、 深夜1時、2時まで、働きづめで、2年も経ったら、手の平が岩のように 堅くなってしまったとか。 もともと、メイドを雇える家庭は、広大な家を持ち、 砂漠のだだ中にプライベート・プールを持てるような人たち なので、掃除をするだけで何日もかかる。 しかも、親戚一同で暮らしていることが多いので、 3人のメイドがフル稼動で働いても追いつかない。

それに、中近東の男性は、宗教上の理由で、イスラム教の女性には 手出しができない。経済力がなく、妻を養うことが出来ない男性は、 一生結婚もできず、そのうっぷんを外国人女性に向けるので、 街に出かけても、路地裏に引き込まれてレイプされかねない。

それを考えると、香港での生活は天と地ほどの違いがある。 家は狭いし、昼間は家族総出で働いているので、 老人と子供くらいしか面倒を見る必要がない。

アパートの階下には、大概、商店街があり、いつでも好きなものを 買えるし、少し多めに仕送りをしても、まだ貯金する余裕がある。 あと何年かメイドとして働けば、フィリピンに帰って小さな 商店を持つのも、とどかぬ夢ではなくなりそうだ。

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3. 持てる者、持たざぬ者

フィリピンは、戦後、農地解放がされなかった国の1つ。 持てる者(大地主)と持たざぬ者(小作人)の差は歴然と 存在する。民主といっても、名ばかりで、大統領選ともなると 大量にお金がばらまかれる。それも、ほとんどが持てる者 に配られ、持たざぬ者は、その号令に従うだけ。 大金が絡むだけに、選挙前には多くの人が命を落とすことも、 珍しくない。

また、宗教上離婚は許されず、1度結婚してしまうと、 相手が死亡しない限り戸籍上は別れることができない。 どんなにぐうたらな夫でも、一生養わなけらばならないのだ。 結婚年齢は若く、10代で子供を産むことも珍しくない。 出生率も高く、次々生まれる子供は、大きくなった子供や、 親兄弟が面倒を見たりして、家族一丸となって助け合って 生きていかなければならない。

親戚の中で羽振りが良い人がいれば、そこに行って、 幾度となく援助を仰ぐし、援助するほうも拒めない。 叔父や叔母の医療費、甥や姪の学費など、 事ある毎に、手紙が来る。(電話はまだ一般的に 普及していない)

しかし、そうしないと生きていけないほど、 大多数の人は貧しいのです。

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作者プロフィール

島田 文代
専門学校を卒業後、外資系のITカンパニーに勤務。 1996年より香港在住。現在、日系の金融関連会社に勤務。
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Last updated on 3/5/98 by Shimada