世界のワーキングウーマン事情
〜ロンドン編


Q1.女性の社会進出は進んでいるの?

A.全体的に、女性の社会進出は進んでいます。 ただ、プロフェッショナルの分野では、やっぱりシングル指向が高いかな。 私の勤めている会社では、小さいお子さんがいらっしゃる 現地採用の日本人女性もちらほらみかけます。 何でも、出産休暇は6か月だそうで、皆さん大体、出産間際まで働いて、 生んでからたっぷり休暇をとるスタイルのようです。 その内の一人に聞いたところでは、その人はチャイルドマインダー(後述)に来てもらって、 出社時間も若干程度、調整させて貰っている様です。
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Q2.出産時の休暇は、どうなっているの?

A.産休については、お産前後の6か月とることが認められています。 お産の日をXとすると、産前はX-11週間が限度。けれどもポピュラー なのはX-6週間(産前の手当対象の限度がx-6週間のため)。 産前手当は会社が出し(通常の給与の90%)、 産後手当は政府が出す(一週間52ポンド、手当対象の限度はX+14週間)

つまり、6か月はとれるけど、ずっとお金がもらえる訳ではない。 前に、お産ぎりぎりまで出社して、産後に6か月休暇をとった人達のことを 書きましたが、多分この人達は産前の手当は放棄したものと思われます。
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Q3.保育はどうしているの?

A.英国には、「ナニー」「チャイルドマインダー」「オーペア」という保育係に頼む方法と、「ナーサリー(保育園)」に預ける保育方法が一般的です。最初の3つについては日本では聞きなれない制度ですので、ここでご紹介します。

1.ナニー

  資格が義務づけられている。ナニーになるためのコースあり、専門職として捉えられています。基本的に、子供を持つ親の自宅に来てくれる。扱う子供(赤ちゃん)はそのうちの子供のみ。つききりになるので、料金は3つの内一番高い。一週間200ポンド(約4万円)くらいが目安です。この上、ナニーの保険料金と税金も支払う義務あります。

2.チャイルドマインダー

  資格が義務づけられている。チャイルドマインダーの自宅で預かるため、つききりでなく、5〜6人まで面倒をみる(これはあくまで目安)。一応資格は必要だけど、ビジネス的な側面もあるため、子育てとしての格はナニーより下。料金は乳児一人で一週間90ポンド(約1万8000円)、二人だと140ポンド(約2万8000円)くらい。チャイルドマインダーは年2週間の休暇をとることが認められており、その間は子供をみていなくても休暇手当を払わなければなりません。

3.オーペア

  資格必要なし。外国人を自宅に呼び、子供や家事の面倒をみて貰う代わり、部屋と食事とわずかな料金を払う。なるのは学生が多く、この学生が語学学校などに行っている時は、その費用も面倒をみる。その学生が家をあけている間の子供の面倒などは、そのオーペア自身の責任となります。アメリカで最近、訴訟となった英国人オーペアによる乳児殺害容疑事件にみられるように、問題が多いみたい。

英国で一番、ポピュラーなのはチャイルドマインダーとナーサリーかな。
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Q4.帰宅時間はどのくらい?

A.証券マンでも5〜6時に帰宅している人は割といて、 帰りの電車も男性・女性問わず、満員です。 日本みたいに全員が残業に追われている感じはありません。

昨日、留学時代の友達でオーストリアで働いてる同世代のドイツ人女性と 久しぶりに再会しました。話によると、オーストリアもスイスと同様、 生活レベルが高くお金持ちばっかりだそうで、 (だから、という訳でもないでしょうが)女性は補助的な仕事につくのが殆どで、専業主婦が非常に多いそうです。

英国は移民が多く、英国人の中でも階級は依然としてありますので、 生活水準がこの二国のように均一ではありません。 ただ、日本と比べれば安い〜生活費でもまともな暮しが出来ますので、お金持ちでなくても(物質的という意味でない)余裕のある生活が できます。

「女性の社会進出が進んでいる」というのも、その人達のバック・ グラウンドによってひきこもごもです。働く姿勢もね。
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Q5.転職する人は多い?

A.皆1〜2年でどんどん転職してますよ。男性も女性も。でもこれは、そういうキャリア形成が可能なプロフェッショナルな職に限ったことかと思います。転職は異業種に移ることも割とあります。業種で分けるより、その人の職歴の中でどういう特質がのばされてきたか、(例:顧客と応対できる、等)で採用の可否がなされることが多いようです。中規模以上の企業によるプロフェッショナル職の面接は(新卒・中途ともに)、何日にも渡ってプレゼンテーションやグループ・ディスカッションをやらせて決めるといった方法がとられます。ここまで手をかけて決めると、採用後に「しまった」と思うことは少ないのでしょうね。

そもそも、転職するのが男も女も当り前の国なので、一定レールから外れたところで、がっくりくることは無いようです。それでも失業とくれば、がっくりくるでしょうが、それも日本の比ではないようです。(失業手当は週34ポンドと少ないものの、失業している限り受け取れるため。)
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Q6.シングル指向は高いの?

A.同棲は当り前!というくらい多い。ただ、結婚となると「そんなコミットメントはちょっと」という人が 多いみたい。これはプロフェッショナルの若め(30代含む)の女性に 顕著な意見かも。その気持ちは分からなくもありません。 なんせ、英国人男性は(日本でいう)マザコンが多い。 母親と息子の関係がとっても濃いため、家事もまともに出来ないのが わんさと居るのです。

晩ご飯担当のうちの旦那は極端な少数派でしょう。 (私は朝ご飯担当なの)
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Q7.WMへの風当たりは?

A.男女ともに働くというコンセプトは、現在のお姑さんや実母の世代から浸透してきているので、働いていることに対する風当たりはありません。言動にはそれなりの自己責任が伴うお国柄ですので、「どうして働くの」と文句を言うには「私が生活の面倒をみてあげるから、やめなさい」とまで言える覚悟なくしては、無理でしょう。但し、こまごまとした事については、お姑さんとか実母が何かしらとうるさい事を言ってくることは多いようです。でも英国では結婚後、親と近くに住むケースは殆どなく(仕事が日本より遥かに流動的なため)、問題は深刻じゃないみたい。「イエ」の感覚はなく「パートナー」単位で思考・行動ともなされるので、パートナーとの戦い(!?)が問題の中心みたい。

階級については、「イエ」ぐるみというより、個人個人が成長過程で「私はアッパーミドル」とかいうアイデンティティが確立され易いようです。でも、大学教育を受けた人達(日本は全体の60%以上、英国はまだ15%程度と、エリートの範疇にある)はリベラルになる傾向があって(でもオックスフォード大やケンブリッジ大はすごく保守的で例外)階級を越えた付き合いがし易いのです。これは英国では国立大しかなく(私大はない)、英国人に対しては学費がタダだからです。(最近、学費導入の方向に移っているけど)教育制度は日本(すごくアメリカ寄りだと思う)と欧州は全然違うので、話しだすと止まらないんですが。
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Q8.再就職に関する特徴は?

A.9月頃の新聞には、「出産後は仕事を辞めて家庭にはいる」傾向がでてきていると書かれていましたが、それに対し仏系投資顧問会社の社長、ニコール・ホーリックさん(ロンドンのシティでWoman of the Yearに輝いた5人の子持ちの投資マネージャー)が「それを理想とする女子学生達も、現実に直面してみれば感じ方が異なるかもしれません」と言っていたのを思い出しました。というのは、最近の新聞に、出産後も職場復帰する女性が10年前の50%から今では60%程度に上がったという報告があったからです。

確かに、米国のペプシコの女性取締役が「家庭を優先したい」とのことで退職したことがニュースになりましたが、エリートでたんまり稼いだ人が仕事を退いても、不思議はないですよね。逆に平均的なWMであれば出産後にかかる育児・教育費を賄うために「辞めたくても辞められない」現実があったりするのではないかと思いますが・・・

友人の知り合いには、エリートコースを歩んでいたけれども、予想外の妊娠でそれを諦め、普通の昇進コースに変更した女性がいるそうです。そういったフレキシブルな雇用体制が整っているからこそ、出産後も職場復帰する女性が増えているのではないでしょうか。
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Q9.英国で働く日本女性のバックグラウンドは?

A.大半はイギリス人と結婚している人だと思いますが、私の勤めている会社で現地採用のエコノミストとして働いている方は単独でビザを持っていらっしゃる様子です。私の高校時代の同窓生にも卒業後にロンドンに留学して、そのままかれこれ10年ほどここにいる女性がいます。

あと、英国人と離婚しても国外退去を強いられないので、離婚してまだこちらで働いている女性もかなりおられるとか。(私だったら、そんな苦い思い出ができたらさっさと英国を立ち去りたいと思うけど・・・)でも渡英した日本人女性の中には、そもそも日本に居たくなくて来られた方が多いようです(10年以上年上の世代であれば、それも判らなくもない気がしますが)。
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Q10.就労ビザについては、どうなっているの?

A.英国には就労ビザというビザはありません。労働省が発行するワークパーミット(労働許可証)を持っている人が英国で働くことが出来ます。

ワークパーミットは、英国で申請するもので、日系企業や政府機関の駐在員の方は申請から受け入れられるまで厳しい審査があり(どうしてそのポストに日本人が就かなければならないのか、またそれに充分な職務経験があるのか、等等)、それにパスすれば受け取れます。この場合の待ち期間は、大体3カ月くらいだと言われています。

またワークパーミットは、レジデンツ全員には無条件で与えられます。この場合、レジデンツになれば即、働くことが可能になります。英国人と結婚している方はレジデンツとなりますので、こちらで働く日本人女性は大抵、英国人と結婚している方が多いです。

ただし、英国入りした時期によって、英国人と結婚していなくてもレジデンツになっている方はいます。サッチャー率いる保守党が政権を掌握した80年代に外国人のビザの引き締めが強化され、それまで可能だった、学生ビザからレジデンツ・ビザへの切り替えが出来なくなったのですが、先の日本人女性エコノミストは、この改正が行われるかなり前にまず学生として英国に入国し、その後英国で日本の政府系の仕事に就き、レジデンツビザを獲得されたそうです。当時、このような経路で、しかも日本の政府系の仕事に就いた方はもともと少なく(彼女によると、英国に3人くらい)、例外措置ということだったそうです。
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作者プロフィール

上原輝美さん。日系の金融リサーチ会社のロンドン支店に勤務。学校卒業後、「実社会」に入りようやく女性問題(の存在)に気付き始めた。国際結婚をしてからは、日本人特有の問題にも関心を強めている。
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Last updated on 12/12/97 by Shimada